Exclusive 海外経済

取り崩しの好景気はいつまで続く?:ビル・グロス
2024年8月22日

ビル・グロス氏が、予想以上に強い米消費・景気について1つの仮説を提起している。


米消費が堅調だ。
米商務省が15日発表した7月の小売売上高は前月比1.0%増と、市場予想の0.3%を大きく上回っている。
堅調な消費が、米景気を予想以上に支えている。

多くの市場関係者が、家計の超過貯蓄がそろそろ使い尽くされると見ている。
パンデミック以降の大規模な財政出動の恩恵がついに終わるとの見方だ。
しかし、現実にはまだその悪影響は顕在化していない。

ビル・グロス氏が21日、この謎について1つの仮説をツイートしている。

計測するのは難しいが、中間層の上の層や豊かなベビーブーマーが資産/現金を移転したり支払いを負担することで、ミレニアム世代や若い世代の支出に資金提供しているのではないか。
その過程で、小売売上高と経済を押し上げているのではないか。

若い世代で過剰貯蓄が尽きれば、親が援助してくれないなら、アメリカ人が得意とするクレジット・カード等の消費ローンの出番となる。
ただし、短期金利はかなり高いところにあるから、このやり方にはブレーキがかかりやすい。
米消費にブレーキがかかっていないところを見ると、親の援助がありそうだ。
引退後の親の主たる収入と言えば(年金か自分年金かの差はあろうが)資産のリターンまたは取り崩しだ。
もちろん、ここには危うさもある。

真実は、支出を賄うためにバランスシートを取り崩しているのだ。
株式/住宅の価格が上昇を続けるかぎり、これは続くだろう。

最後の1行が危うさを滲ませている。
堅調な景気が資産効果によるところが大きいならば、資産効果が得られなくなる(=価格がピークになる)と逆回転を始めるかもしれない。
消費が停滞を始め、資産価格を下押しし、資産効果を負に反転させる。
米景気については依然ソフトランディングを見込む人が多い。
一方、いつものように景気後退になるとの意見も根強い背景には、資産効果に依存する米消費への警戒があるのだろう。


-Exclusive, 海外経済
-,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 本サイトでは、オンライン書店などのアフィリエイト・リンクを含むページがあります。 その他利用規約をご覧ください。