FOMCでの大幅利下げを受け、ジェレミー・シーゲル教授にいつもの強気が戻ってきた。
今後のFRB金融政策、米グロース対バリューについて語っている。
3.05%というのはおそらく3.50%の期待値であると強く考えている。
シーゲル教授がウォートンビジネスラジオで、17-18日FOMC以降2025年7月FOMCまでの金融政策について読み解いた。
3.05%とは2025年7月のFF金利先物、3.50%とはFRBが予想する同時期のFF金利だ。
この格差が将来、市場・経済にサプライズになるとの懸念が指摘されているが、教授はそれを打ち消している。
市場がリスク資産のヘッジのために債券を買い、債券利回りが低下した、つまり債券利回りには負のリスクプレミアムが乗っているとの解釈である。
結果、3.05%の先物と3.50%の予想とはほぼ擦りあっており、心配はいらないと言いたいのだ。
私は長期債(利回り)が下落するとは予想していない。・・・
利下げ幅が大きかったのに上昇を予想する理由は、景気後退リスクが低下したからだ。
シーゲル教授のブルぶりが戻ってきたようだ。
現状、米長期金利の上昇を予想する人は少なくない。
しかし、そこで述べられる理由は財政悪化による長期債増発やインフレ再燃だ。
一方、教授は(インフレが景気改善の一部とみなしながらも)あくまで前向きな側面を前面に出す。
また、イールドカーブが正常化することも(景気後退の兆候と懸念する向きとは一線を画し)歓迎している。
シーゲル教授は現在のAI相場に代表されるグロース株・テック株とインターネット・バブル時との相違点にも触れている。
インターネット・バブルでの株価上昇はバリュエーションがすべてだったが、現在のテック株は(バリュエーションは一部要因にすぎず)ほとんどは利益要因によるものだと指摘。
利益要因による株価上昇は正当化されると話した。
その一方で、利益拡大がいつまで続くのかが問題だという。
それが比較的高いバリュエーションの持続性を決めるからだ。
シーゲル教授は、高バリュエーションの意味を簡単に説明する。
「PER 20倍の株では、予想される今後12か月の利益は価値のわずか5%にすぎない。
24か月の利益はわずか10%で、90%の価値は2年後以降になる。
35倍の株、特殊要因のあるテスラを除くマグニフィセント・セブンの水準だが、今後1年の利益は(価値の)3%、2年なら6%だ。
つまり、株式の価値の94%は24か月後以降の利益によるものになっている。」
グロース株では価値を演出するのに遠くのキャッシュフローが用いられている。
この演出は実現するのか。
シーゲル教授は、グロース株のPER 35倍は「ばかげた数字」ではないと話す。
利益成長すれば、分母が大きくなり、PERを抑える要因として働くはずだからだ。
しかし、そこに規模の要素を勘案した時、数字の現実味に疑問が生じるという。
ばかげたことになりうるのは、それらすでに超大型株の時価総額を考えれば・・・この先もそんなに成長できるのか?
価値の94%は24か月後以降の成長であり、24か月後以降に予想されている成長に有害なことが起これば問題になる。
シーゲル教授は自他ともに認めるバリュー株推しだ。
この日も改めてバリュー株の魅力を語っている。
PER 15倍なら6.5%の益回りを上げるのに成長は全く必要ない。・・・
6.5%の実質リターンは長期、過去200年の実際の株式市場のリターンに一致する。
しかも成長は必要ないんだ。