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ハワード・マークス 投資の成功を決める2つのポイント:ハワード・マークス

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、同社主催コンファレンスで議論された点について総括している。
同社プロフェッショナルの意見の集約となっているが、中からマークス氏のコメントを紹介しよう。


名言好きのマークス氏は、今回も賢人の名言2つを引用している。

アルバート・アインシュタイン:
「狂気とは、異なる結果を求めて何度も何度も同じことを繰り返すことだ。」

ポール・サミュエルソン:
「物事が変化した時、私は考えを変える。
あなたはどうだ?」

マークス氏はアインシュタインの言葉の別バージョンを提案する:
「狂気のもう1つのバージョンとは、異なる環境で同じことを行い同じ結果を期待することだと思う。」
同氏は、完全に異なる環境でも同じ結果を期待することは「愚か」だと確信しているという。

こうした認識がどれほど大きな意味を持つのかについては、マークス氏が数年前まで引用を続けてきた2つの名言を思い出せば想像がつく。

ジョン・テンプルトン:
「投資の世界で最も危険な4語は『This time it’s different.』(今回は違う)だ。」

マーク・トウェイン:
「歴史は繰り返さないが、韻を踏む。」

歴史は繰り返すとまでは言わないが、往々にして似た道筋を進むとの経験則である。
ところが、今回マークス氏は例外を唱えようとしている。
環境が完全に変化したためだ。
昨年5月のMemoでは「今回は本当に違うかもしれない」と漏らしている。

ちなみにテンプルトンは偉かった。
マークス氏も折に触れて紹介してきた通り、テンプルトンは「20%の場合は本当に違う」とも言い添えていたのだ。
今その「20%」の側に入る環境変化が起こりつつある。

ここで言う環境変化とは何だったか。
言うまでもなく、2009-21年の金利低下・超低金利からの変化だ。

「借金には最高の時代だった。
借金で資産を買っていれば、通常ダブルの大当たりを引くことができた。」

投資リターンだけでなく、レバレッジによるリターン増幅が享受できたのだ。
これが米金融政策正常化とともに終わったのだ。
マークス氏は「その時代は明らかに終わった」と断言してはばからない。
同氏は、変化にともない2種類の投資家が有利になりつつあると解説する。

今日フィクストインカム投資は株式投資に比べリスク/リターンの面でよい状況に置かれていると信じている。・・・
貸し手とバーゲンハンターは、2009-21年と比べて、この変化した環境においてはるかによい見通しに直面していると信じている。

このコメントの主たる目的は、投資環境が大きく変化したから、投資に対するスタンスも変えなさいということだろう。
ただし、コメントの冒頭ではもう1つの重要ポイントがさらりと触れられている。

「投資家は、投資環境と投資のスタート地点が成功に大きな影響を及ぼし、投資のホライズンが短いほどこれが当てはまることを理解すべきだ。」

もう1つの重要ポイントは「投資のスタート地点」。
リターンを大きくしたければ、なるべく低い発射台からスタートしたい。
フィクストインカムでは、おそらく許容可能な発射台がすでに何度か与えられてきたのだろう。
(ただし、より低い発射台が今後与えられる可能性もある。)
バーゲンハンターにとっては、より低い発射台はまだ先にある可能性が高いのではないか。
少なくとも今はまだバーゲンではないのだろうから。


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