ビル・グロス氏が、長い投資家人生で得た教訓を語り、その中で安全なレバレッジの用い方を説いている。
歳とともに洞察を備えるようになり、2025年に入った今こそ私の投資キャリアから上手くいった教訓をいくつか回顧したい。
グロス氏が自身のサイトとFTで、キャリアで得た教訓を明かしている。
1つ目は、米国社会だ。
「大きな絵で言うなら、米資本主義は相対的な意味で他の経済より西部開拓時代を思い出させる。
それはリスクとリスクテイクを許容する。・・・
それはリスクとイノベーションを推し進め、奨励さえする。
多くの場合、単に成功だけでなく、完全な失敗や破綻をもたらす。」
グロス氏は、米国例外主義とも呼べそうな考え方を述べている。
米社会がリスクテイクに優しい社会であり、それがイノベーションを生む土壌になっているというのだ。
これが暗示するのは、米資産が時間とともに価値を高めやすいという点だろう。
この米国例外主義を前提に、グロス氏はレバレッジに対しても条件付きで寛容な考えを述べている。
レバレッジと時間の組み合わせは、ポートフォリオ設計において認識すべき重要なポイントだろう。
レバレッジは危険になりうるものだ。
しかし、ファンダメンタルズ的に健全な投資アイデアを実行するのに十分な時間がある場合、それほど危険ではない。
グロス氏がレバレッジを許容するか否か、またその程度は、そのポートフォリオに与えられた時間によると言いたいのだ。
同氏は例としてウォーレン・バフェット氏を挙げる。
バフェット氏が投資で大成功を収めた主因に保険会社を傘下に収めたことが挙げられるのは有名な話だ。
単なる投資ファンドとして投資家からお金を預かる場合、具合が悪くなった時に資金引き出しを求められることがある。
レバレッジをかけている場合、破綻の危機に追い込まれかねない。
一方、保険会社が保険料として預かる資金はそれよりはるかに安定的で、そうそう引き出されることはない。
引き出しの請求は経済・市場が悪くなった時に集中するものだ。
そういうタイミングで他のプロが悲鳴を上げ投げ売りをする時、安く拾っていたのがバフェット氏なのだ。
次にグロス氏が挙げたのは、運用者の責任だ。
運用者は無数の人々の「運命と人生」に影響を及ぼしうる仕事だという。
「1980年代終わりの米S&L危機、おそらくドットコム・バブルや今ではビットコイン・マニアのように不合理や貪欲が高まれば、市場、経済、人々は長い年月損害を追いうる。」
グロス氏が最後に挙げた教訓は、他のプレーヤーの観察だった。
「他の投資家の考えを知ることも助けになる。
ジョン・メイナード・ケインズが大昔に見出したように、少なくとも短期的には市場はビューティーコンテストになりうるからだ。・・・
幾度とない経験から、そうした意見には耳を傾ける価値があり、人々を観察することが金融市場におけるカギであることを学んだ。」
なお、今年の投資については:
- 保守的: 引き続き4%超の配当利回り、PERが低いまたは中くらいの銘柄。地銀の一部(KEY、CFG)がこれを満たす。
- パイプラインMLP: ET、MPLXなどがこの1年半大幅に上昇。エネルギー政策から見てまだ魅力的だが、急騰は終わった。
- タバコ株: MO、BTIは減らしている。
グロス氏の市場感はこうだ:
「市場は良好だ。
長期投資の教訓を忘れるな。」