勤労・納税は国民の3大義務のうちの2つだから、アーリー・リタイアをあまり奨めるべきではないだろう。
とは言え、若いうちの引退を望む人は多いし、実際にそうしている人も多い。
ならば、その懐勘定を確認しておこう。
以下はその最も単純なシミュレーターだ。
中心となる考え方
何が何でも60歳までには(不動産賃貸等を含め完全に)引退すると定め、その後の人生とそれまでの人生の収支計算を行う。
60歳以降に必要な生活費の総額を計算し、手許資金から差し引く。
差し引いたお金が今から60歳までに使っていい余裕資金になる。
この余裕資金を60歳までの年月で割れば、今引退した場合の月あたり支出の上限になる。
重要な仮定
- 同い年の夫婦2人の世帯。
- 仲良く90歳まで生きる。
- インフレ・運用益を考慮しない。
インフレの先行きは予想できず、金融抑圧が続く日本で運用益を当て込むこともあまり得策ではないだろう。 - 年金受給年齢は70歳とした。
今後も引き上げ方向で見直されるとの予想から。
入力するのは4つ
表の真ん中のカラムで4つ数字を選択できるようになっている:
*1 60-90歳の生活費(月額): あなたが老後に必要と考える月あたりのお金の月あたり総額。
公益財団法人生命保険文化センター(2019年8月11日閲覧)によれば
- 「老後の最低日常生活費」は平均22.0万円
- 「ゆとりある老後生活費」は平均34.9万円
とされている。
*2 年金収入(月額): 年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」を参考に、夫婦の合計額を入力するとよい。
iDeCoはここに入れてもよいし、次の「手許資金」に入れてもよい。
*3 手許資金: 現在保有する金融資産(負債との正味)を入力。
*4 現年齢: 今すぐに引退するなら現年齢、少し後になるなら目標とする引退年齢を入力。
最後に表示される「60歳までの月支出」が今引退した場合の月あたり支出の上限になる。
これまでの生活水準を参考に、現実的な数字となっているか考えるとよい。
計算のロジックは見ての通りとても単純だ。
ただし、完全に引退するか、運用益が(インフレとネットで)プラスになるか、離婚・死別があるか、等によっても結果は違ってくる。
日本経済がそこそこ平穏ならこの計算は保守的すぎるだろうし、試練がやってくるなら甘すぎるということになろう。
大切なのは、不完全であっても、現時点のベスト・ゲスとして現実味のある将来計画が成り立ちうるのかを確認することだ。