ジェレミー・シーゲル教授が、来週のFOMCについて無風の展開を予想している。
あわせて、経済・金融メディアのある誤りについて厳しく咎めている。
(来週28-29日)FOMCがあるが、もちろん何も変更はない。
シーゲル教授がウォートンビジネスラジオで、来週のFOMCが無風で終わると予想した。
インフレの状況に変化はなく、経済も「スイートスポット内にある」と見るためだ。
米市場の見通しも従前どおりで、AI関連やグロース株についてのナラティブは続いており今後もしばらく続くとの見通しを述べている。
PERより求めたリスクプレミアムから米国株を割高とする一部報道について、シーゲル教授は厳しく誤りを指摘している。
現状、たとえばS&P 500の予想PERについては23-24倍とする人が多い。
益回りは4.2-4.4%。
米10年債利回りが4.6%であることから、株式リスクプレミアムがマイナスになっていると主張する人がいるようだ。
「株式リスクプレミアムがマイナスというのは、ファイナンスや経済学を知らない人だ。・・・
米10年債利回りと市場の益回りを比べてはいけない。
片方(益回り)は実質資産でもう片方(10年債)は名目資産だ。・・・
米10年物価連動債利回りと比べないといけない。
同利回りは2.2%であり、はるかに市場の益回りより低く、逆転などしていない。
書いた人たちはファイナンスも経済学も知らないのだ。」
この報道はどうやら誰もが知っている英経済紙によるもののようだ。
悪意はないのだろうし、リスクプレミアムが縮小しているのは事実だが、間違いは間違い。
シーゲル教授の厳しい指摘も当然だ。
残念なことだが、世界屈指の経済メディアでさえ、こうした基本的なことを誤ることがある。
当たり前だが、シーゲル教授の指摘がまったく正しい。
PERの分子は株価、分母はEPS、いずれも名目の数字であり、その比は実質の数字になる。
2020年にロバート・シラー教授が「超過CAPE利回り」というCAPEベースのリスクプレミアムを発表した際もリスクフリー金利は実質利回りを用いている。
FP運営元が不定期に公表している国別益回りスプレッドでも当然同様に計算している。