バブルの研究家としても知られるGMO共同創業者ジェレミー・グランサム氏が、嬉々とした様子でバブルの歴史と現在の市場環境を語っている。
現在はシラーCAPEが全期間のトップ1%の水準だが、この水準で始めれば、大きく上昇するのにとても厳しい時期を迎えることになる。・・・
1929年や1999年の最後のあがきなど、何度かしばらく大きく上昇したことがある。
注目すべき最も印象的な例は日本(1980年代後半)で、2年半も上昇し続けた。
いずれのケースも信じられないほどひどい終わり方をした。
グランサム氏がInsightful Investorのインタビューで、ある意味当たり前の事実を語った。
株価が上がれば上がるほど、その後のリターン率は下がるというものだ。
グランサム氏は現在の米市場等をバブル状態と考えている。
パンデミック後の急上昇がバブルを生み、萎みかけたところをAIブームが起こり、現在まで継続しているとの見方だ。
現在が本当にバブル状態で、さらに株価が上がるなら、谷も深くなることになる。
「概して、大金を儲けたくて長い強気相場を願う時には、高い失業率、利益率低下、PER低下が必要だ。・・・
現在のような、ピークの利益×高いPERも逆方向の二重の利益だ。
ピークのPER×ピークの利益から底のPER×底の利益までのギャップの下落はとても大きなものになる。
これが1974年、1982年、ある程度2009年までに見られたものだ。」
現在の株式市場は利益とPERの両方がパブル的な高位にあるとの指摘だ。
景気後退でこれら両方が低下するなら、二重の危険(ダブルジョパディ)に見舞われるという。
こうした見方からすれば、市場の脆弱さについて足下のPERで議論する意味は乏しくなる。
利益が持続不可能な高さなら、倍率にはたいした意味がなくなってしまう。
これは景気後退時の日本株で顕著な性質である。
日本株は大きな景気後退時、市場のEPSがマイナスになることが多い。
グランサム氏は、市場の強気ムードとは一線を画す。
「急騰の天井は常に心地よく感じられるものだ。
すばらしく感じ、みんな常にこじつけの理屈を語る。
1929年(訳注:大暴落と大恐慌開始の年)には新たな踊り場を迎えたと言われた(笑)。」
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