市場の効率性と経済学者の有用性
シカゴ大学で修士号を取得したマークス氏は語る。
まず初めに、市場の効率性はとても重要な概念だと思う。
・・・これが示すのは、マーケット・タイミングはNoということ。
予想者との経験から、基本的にマクロ予想は役に立たない。
「マクロ経済学者(エコノミスト)は役立たずか」と質問されると、シカゴ学派の考えにベースラインを置くマークス氏は事実上肯定している。
彼ら(経済学者)はしたがうに値するほどには一貫して正しくない。
55年前銀行(シティバンク)にいた頃、私たちは『経済学者とはマークトゥマーケット(訳注:損益管理のための時価洗い替え)を全くやらないポートフォリオ・マネージャーだ』と話していた。
それは本当だと思う。
投資の世界でも政策決定の世界でも、経済学者の無責任ぶりは顕著だ。
言いたいことを言って、それが投資や政策に反映され、うまくいかなくても、責任を取ることはない。
(ファンドマネージャーならクビだ。)
マークス氏は、ファンドマネージャーを雇う際には必ずトラックレコードの提示が求められるのに、経済学者には求められないと揶揄している。
インタビュワーは、「そんなことすれば雇ってもらえない」と返している。
マークス氏が経済学者に対して抱く不満の原因は、彼らの結論の出し方にもあるようだ。
同氏は、自身の投資哲学に共通する点を説明する。
「これら(6項目)はすべて知識の限界を強調するものだ。
・・・基本的に人々の周囲で築かれるプロセスは予見できない。
・・・ランダムさが大きく効いている。」
(次ページ: マークス氏の矛盾と深み)