米国株市場についてシーゲル教授は、陶酔感もなく、むしろボラティリティ上昇は(オプション購入による)ヘッジが行われている表れとの見方だ。
一方、いまだ割高圏にあるため積極的に買われる状況でもないという。
米国債市場についてシーゲル教授は、最近の長期金利低下の主要因を経済鈍化とするほか、ボラティリティ上昇を嫌気した国債の買いもあったと話した。
一方、政府効率化省(DOGE)の成果はまだ現れる段階ではないとの見方だ。
4.25%近辺の長期金利が4.33%近辺のFF金利と長短逆転している点について、景気後退なく不確実性が解消すれば、正常化するとの見通しを述べている。
「長期債は乏しいリターンしか生まない、とても短期的なヘッジ手段だ。
少なくとも10年物価連動債利回りが2%未満の今では(長期債)リターンは益回りや市場のどんな尺度にも及ばない。
私の感じでは、経済が再び悪化しない限り、10年債利回りは4.5%レンジに戻り、さらに上昇する可能性がある。」
1つ興味深いのは、シーゲル教授が物価連動債利回り(実質リスクフリー金利)と株式益回り(教授がしばしば用いる株式の期待実質リターンの目安)を比べていることだ。
前者が後者より低いのは正常なことであり、金融理論ではこの差を株式リスクプレミアムと呼んでいる。
このリスクプレミアムを無視するかのように両者を比較したことは、米国株の期待リターンについて妥協をする人が増えている証拠ではないか。
こういうところを見ても、理論的投資家にとって米国株市場は目いっぱいのところに来ているように感じられる。
一方、このことは市場がもはや上昇しないことを意味しない。
割高な株価がさらにバブル的な領域に進むのに必要なのは理論的投資家ではなく不合理あるいは無知な投資家だ。
こうした人たちがいる限り、株価には常に上昇の可能性が残されている。