パーシング・スクエアのビル・アックマン氏が、相互関税で世界中に喧嘩を売るトランプ大統領に変心を懇願している。
米国は、米国を不利にしてきた世界の関税システムを修正しようとする大統領の考えに100%遅れている。
しかし、事業とは信認のゲームであり、信認は信頼に依存する。
トランプ大統領の支持者として知られるアックマン氏がXでのツイートで、大統領の関税政策について丁寧かつあからさまに批判している。
同氏は不公正な関税を撤廃させようとする意図には賛同するが、そのやり方に厳しい注文を付けている。
「大きく不均衡な関税を友好国と敵国に等しく課し、それにより全世界を相手に一気に世界経済戦争を仕掛けることで、米国の貿易相手国、事業の場所、資本を投資する市場としての信認を破壊している。」
アックマン氏は、このやり方がもたらしうる結果を何度も繰り返し警告する。
「4月9日に世界中の国々に経済的核戦争を仕掛けるなら、事業投資は停止し、消費者は財布の紐を締め、米国は諸外国からの評判をひどく傷つけることになる。
それを元に戻すには数年、もしかしたら数十年かかるだろう。」
「苦しむのは大企業だけではない。
中小企業や起業家たちはもっと大きな痛みを被る。
一夜にして増大するコストを顧客に転嫁できる企業などほとんどない。
たとえ借金がなくとも、不幸にもシステムには大きなレバレッジがかかっているというのが現実なのだ。」
「米国は自ら仕掛けた経済的核の冬を向かい、身をかがめるしかなくなる。」
アックマン氏は、関税がすべて発動されればレバレッジは巻き戻しを余儀なくされ、世界の政府・企業・個人がドミノ倒しに巻き込まれると見ているのだろう。
アックマン氏は「私たちはこのために投票したのではない」とも述べている。
同氏は、関税の発動の前に各国と交渉を行うことを求めている。
具体的には、90日の猶予を設け関税・投資について交渉すべきと書いている。
アックマン氏は最後に「冷静な考えが勝ることを願っている」と書いているが、本当に恐ろしいのは政権が最初からある意味「冷静」である場合ではないか。
人々からの信頼を気にかけない政権は、しれっと発動を延期しかねない。
(仮に不幸にも政権内で押し目買いをしてしまった人でもいれば、痛くない腹を探られかねない。)
市場に弱気になるのは致し方ないが、ショートはやめておいた方がいいのかもしれない。