今週のジェレミー・シーゲル教授のポッドキャストは、さながら《言い訳の回》といった風情だった。
どうやら、先週の75 bp ×2利上げの主張に多くの反対意見が寄せられたようだ。
「もしも木曜日(8日)の新規失業保険申請件数が260-270千件とか大きく悪化していたら、FRBは緊急利下げのプレッシャーを感じただろう。
しかし、実際の数字はそうでなかった。
だから、FRBが緊急利下げしなければならない特段の理由はない。」
これが今週のウォートンビジネスラジオでのシーゲル教授の敗戦の弁である。
要すれば、景況感についての読み違いなのだろう。
75 bpを2回という主張は、かなり他のエコノミストらの考えとかけ離れていた。
それだけシーゲル教授は発言時点において米経済を悲観していたということだ。
視聴者の方も、教授の醸す悲壮感に驚いた人も多かったはずだ。
一方、シーゲル教授の主張でもっともなのは、FRBの政策説明の不明瞭さだ。
中立金利の予想を開示し、FF金利がそれよりはるかに上方にあり、インフレ低下とともに実質金利が上昇しているのに、利下げが始まらない。
このわかりにくい政策運営に疑問を呈することは、あながち間違いではあるまい。
シーゲル教授は、今後のFRBの動きについて、ショック前に戻っている。
データ次第で25-50 bpの利上げが企図され、ジャクソンホールで地ならし、9月FOMCで決定というもの。
この日のシーゲル教授の声は少し元気がないように聞こえた。
それでも、株式市場については極力前向きに語っている。
もしも大きな(経済)鈍化となれば、FRBが利下げし、米国債の競争力が低下し、高配当株がよくなるだろう。
このタイプの株は歴史的にもよかった。
(市場が)弱気相場入りするとは考えていない。