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金やビットコインは分散子:レイ・ダリオ

ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏が、暗号資産の投資における価値を極めて限定的に語っている。


私はいくらか暗号資産、ビットコインを保有している。
問題は、金と比較した場合の金額と魅力だ。

ダリオ氏がUAE国営The Nationalのインタビューで暗号資産へのスタンスを尋ねられて前置きした。
いくらかビットコインを保有しているからといって、大騒ぎするほどのことではないと言いたいのだ。
分散投資で世界一のヘッジファンドを作り上げた同氏からすれば、分散の役に立つなら猫の手でも借りろ、といったレベルの話のようだ。

「まず重要なのは、どちらでも、理想的には両方をポートフォリオに組み込むことだ。
どちらか一方だけを入れて他方を入れないというように熱狂的になるべきではない。
貨幣の価値について心配し、あなたにとっての印刷できない代替的貨幣が何かを考えるべきだ。」

非伝統的金融政策の下で米実質金利がマイナスに沈んだ時、ダリオ氏は「現金はゴミだ」と公言し、世間を驚かせた。
実質金利が大きく水面上に出た今「ゴミ」という表現は控えているものの、同氏のドルに対する猜疑心は解消していない。
中長期でのインフレやドル安を予想しているのだろう。
それは他の先進国通貨に対しても言えることだ。

ダリオ氏は、暗号資産より金を好む理由を3つ挙げている:

  • 「政府が容易に課税できる。」
  • 「『金とは保有できて、他の人の債務でない、つまり他人に依存しないですむ唯一の資産だ』と言われることがある。」
  • 「金はすでに常に準備通貨であり、第3の規模の準備通貨だ。」

暗号資産ファンからすれば反論もあるのだろうが、要はわかりやすいか、制度として確立されているか、といったところだろう。
ダリオ氏は、特にポートフォリオの分散子としてインフレや金利に対する関係を見る時、金はビットコインよりはるかに理解しやすいと述べている。
ビットコインについては、供給に限度があるために投機的要素も大きくなっているとし、それがマイナスにもなりうると示唆する。
それでも、金だけでなく、暗号資産にも一定の効用を認めている。

「重要なのは、あなたが政府を信頼しているかという問題を認識しているかだ。
政府を信頼するには、政府が債務返済を容易にするために貨幣を印刷するのをやめる必要がある。
貨幣増発は最良の方法ではない。
債券などの債務性資産ではなく、他のものを選好している。」

そう言いつつも、分散子として投資すべき金額はさほど大きくはないようだ。

単にポートフォリオの一部の話であって、調子に乗って保有したくはない。

ダリオ氏は最適な分散ポートフォリオの現実を次のように語っている:

ほとんどを株式・債券・不動産等で持つなら、概してよい時期が多く、パフォーマンスも良い。
金は分散子であり、ポートフォリオにいくらか、10-15%ぐらいを組み込むことでリスク低減になる。

金で10-15%なら、それよりはるかにボラティリティの大きな暗号資産ならもっと小さくなるのだろう。
もっとも、ボラティリティが大きいのだから、たとえ数%でも宝くじを買うような楽しさが失われることはないのかもしれない。
内容をよく知り、周囲に迷惑を掛けず、適法に楽しむなら、悪いものでもないのだろう。


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