ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏が、長期サイクルの終期に有効な価値の保蔵手段について語っている。
まず、米国、中国・・・日本のような国はすべて好例で、つまり、債券や債務性資産はよくない資産だ。
だから、貨幣の減価やそれを買うことで損をせず得するような資産は何かという話になる。
ダリオ氏がAll-in Podcastで、米ドルの代替になりうる価値の保蔵手段を尋ねられて答えた。
同氏の最初の答は金であり、可能性のある候補としてビットコイン等も挙げた。
(ビットコインはダリオ氏の中でずいぶんと認知度を高めたようだ。)
ダリオ氏は、長期サイクル終期という特殊な状況における代替手段について理想とする条件を挙げる:
- 国際的
- 可動
- 比較的プライベート(押収・課税されにくい)
ダリオ氏はこの条件から不動産を選択肢から外している。
金以外のコモディティについて尋ねられると、ダリオ氏はいくつか条件をつけている。
- 長期サイクル終期の経済がよくないインフレ期には有効
- できるだけ経済に左右されないコモディティを選ぶべき
その上で、投資対象としてのコモディティの致命的欠点も明かしている。
すべてのコモディティは実質ベースで見ると、長期的に下落する。
理由は生産性にある。
ダリオ氏のコモディティ好きは有名だ。
なにしろ学生時代から親しみ、証券会社社員時代にも扱った資産クラスだ。
これまでも長期サイクルの終期では金のほかコモディティがよいと言い続けてきた。
しかし、こうした推奨も特定の局面における優劣にすぎず、ダリオ氏にとってはコモディティとは分散のための有用な1つのツールにすぎないのだろう。
長期的に静的に投資すべき対象ではないと認めているのである。
「つまり、生産的な資産で、課税できず、場所を変えることができる資産がよい。
あるタイプの株式がそれを満たす傾向にある。
だからこそ・・・通貨の減価、金利低下、貨幣増発が株式資産に上昇をもたらす。」
ダリオ氏は、株式が比較的に価値の保蔵手段として機能しうると話すが、それにも限界がある。
価値を完全に保蔵することはできないようだ。
でも、必ずしも実質ベースでそうなるとは限らない。
1970年代には株式は上昇せず、実質ベースで下落した。
それでも、株式は富の保蔵手段であり、簡単には課税できず、相対的にはインフレの恩恵を受けたんだ。
ニフティフィフティの下落とインフレの10年は、株式をもってしても価値の保蔵が難しかった。
現状に置き換えると、マグニフィセント7とインフレの10年にならないか心配だ。
こんなわけでダリオ氏は、この局面での価値の保蔵では金が「最も純粋な賭け」になると考えている。
これはそのままブリッジウォーターの金好きに受け継がれているようだ。
ダリオ氏は暗号資産について、金に比べ追跡や課税がしやすいと考えている。