モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏は、S&P 500指数5,500近辺を短期的底と見て、今後の市場イメージを語っている。
この先について、投資家は現在、報復関税のデッドラインである4月2日に強く注目している。
このカタリストによって関税率・国・製品についてはいくらか明らかになるのかもしれないが、これは問題の決着とは真逆に、関税交渉の出発点にすぎないだろう。
ウィルソン氏が自社ポッドキャストで語った。
米市場では、下げ止まったとの楽観論が強まり始めている。
そうした人たちは、4月2日に関税の方向性・範囲が明らかになり、関税が実施されるにせよ不確実性が払拭されることで、市場への悪影響が取り払われることを期待している。
しかし、ウィルソン氏はそこまでは楽観していない。
トランプ政権の政策が市場にプラスに働くというまでは期待できないと考えている。
同氏は、市場にとってはFRB金融政策の方が期待できると見るが、それには「大きな労働市場の悪化またはクレジット市場・資金調達市場における動揺が必要になろう」と話す。
つまり、FRBが市場の支えになるには、経済・市場が悪化しなければならず、決して喜ばしいことではないのだ。
ウィルソン氏は従前から今年の米市場について、年前半を弱含み、その後回復し年末6,500と予想してきた。
2月初めには、以降3-6か月を5,500-6,100のレンジと予想している。
同氏は最近の米市場の調整局面を「2022年と同様、売られすぎ」と述べ、13日に予想レンジの下限に近づいたとして短期的に底を打ったと話していた。
弱気派とのイメージが強いウィルソン氏だが、短期的に米市場が回復するとのシナリオを語っている。
- 短期: 当面は低クォリティ・高ベータ銘柄が上昇を先導すると予想。
- 中期: 企業業績に陰りが見え、中期では高クォリティが有利。
- 企業業績: 下方修正傾向が続くが、マグニフィセント7に下げ止まりの兆候。Mag7が下げ止まり、S&P 500が安定するかも。
- 資金流入: Mag7等の不振が終われば、米市場へ資金が回帰する可能性。
- 米ドル: 最近のドル安が米企業業績の相対的改善につながる可能性。