ダブルライン・キャピタル恒例の年初座談会の続報: ジェフリー・ガンドラック氏の市場シナリオと資産クラスに対する見方。
「2023年の初め、いつものとおり企業の利益は11%上昇すると予想されていた。
結果は1%だったのに大きな上昇の年となった。
すべてバリュエーションによるもので、利益のファンダメンタルズによるものじゃなかった。
現在のPERはとても高く、かなり嫌な結果となった2年前とよく似ている。
もしも11%の利益成長がなければ、概して、どうやって儲かるんだろう。」
ガンドラック氏が自社主催の座談会で、米国株市場に対する見方を述べた。
同氏はクォリティの高い銘柄にとどまるようアドバイスしている。
前段のマクロ経済に対する見方、本記事の市場に対する見方を重ね合わせると、ガンドラック氏が長短サイクルに分けてシナリオを組んでいることがうかがわれる。
まず、超長期サイクルにおいては、金利が底値圏にあるとの見方。
これに短期サイクルが重なってくる。
近々景気後退が鮮明となり、その間、金利もインフレもさらに低下するというものだ。
以下、ガンドラック氏の注目の発言。
(ただし、従前の発言から変化は見られない。)
米債:
「現在は循環的なトレンド反転で金利が低下しつつあるので、よい投資先になっている。
しかし、その後景気後退になると、リスクテイクを考え始めるようになる。」
米クレジット:
「景気後退では低格付けのクレジットに投資する機会があるだろうが、今はまだだ。
だから私たちの投資は米国債、保証付きMBS、資本構成の中間(AA~BBの一部)のミックスにしている。」
物価連動債:
「TIPSは今は投資すべき先ではない。
短期的にインフレは2%台になるとかなり信じている。」
ハイイールド:
「過去40年どれだけのハイイールド債が実際に償還されたか?
そう多くない。
デフォルトしたか、リファイナンスしたかだった。
金利が上がってリファイナンスできなくなったら、何が起こるだろう?
危険を承知で言うと、過去の経験よりデフォルトが増えるだろう。」
MBS:
「直観に反するが、金利が低下して住宅ローン金利が低下したら、奇妙なことに住宅価格が下がるかもしれない。
供給の一部が再開するからだ。」
(現状の高金利が住宅ローンの借り換えを不利にし、結果として住宅の供給(つまり売却)を減らし、住宅価格の下落を防いでいるとの見解。)
ドル相場:
「景気後退への反応は、ドル安だと考えている。
景気後退でドルが良いのは過去40年間みんな知るところだ。
もしも、景気後退への反応が貨幣増発だったらどうなるだろう?」
新興国市場:
「ついにドル以外へのシフトが望まれる瞬間を迎え、その時点での最良のシナリオは新興国市場だろう。」
「長期なら・・・孫の大学の学費なら、インド株ETFを買って放っておけ。
30-35年前の中国と同様、テンバガーになるから。」