1920年代の米国は、プロ・ビジネスの大統領カルビン・クーリッジ(1923–29年)の下、景気・市場が大きく拡大する《狂騒の20年代》を迎えた。
(2017年にドナルド・トランプ大統領が就任した時、ロバート・シラー教授は、クーリッジ時代と似たことが起こるかもしれないと言っていた。)
しかし、1929年《山高ければ谷深し》のとおり、米市場は大暴落を迎え、世界恐慌が始まることとなった。
1933年にはフランクリン・ルーズベルト大統領がニューディール政策を開始する。
大規模な拡張的財政・金融政策だ。
これがデフレからインフレへの転換を引き起こし、株式市場も回復へ向かうことになった。
2020年のパンデミック時、レイ・ダリオ氏は、パンデミック対応のための財政・金融政策ミックスがニューディールと似ていると指摘していた。
実際、貨幣増発のあった1933年以降、2020年以降のいずれのケースでも、景気・市場はV字回復を遂げている。
前世紀と今世紀の20年代前後を重ね合わせるとイマジネーションが膨らむ。
(あくまでイマジネーションにすぎない。)
第1次トランプ政権の前半がクーリッジで、後半がルーズベルトなのか。
いやまだ大暴落と言えるものは起こっていない。
(小暴落ならパンデミックで起こったし、大暴落はリーマン危機で経験済み。)
第2次トランプ政権もルーズベルトの時代に似てくるのだろうか。
上記2回の貨幣増発に戻ると、その後の展開は前世紀と今世紀で明らかに異なっている。
ニューディール開始後1936年まで景気・市場は好調だったが、1937年の小幅な金融引き締めで停滞が訪れている。
市場は十分に回復しないまま、第2次世界大戦に突入する。
一方、今世紀は、FRBが驚異的なスピードで利上げを行ったのに、経済・市場が強さを保っている。
マーク・トウェインの言葉を引くなら《歴史は繰り返さないが韻を踏む》。
《繰り返す》なら停滞と世界大戦となるのだが、《韻を踏む》の場合、どこまで似てくるのだろう。