18-19日のFOMCの結果について、ウィリアム・ダドリー、ジェレミー・シーゲル 両氏の反応を紹介しよう。
ウィリアム・ダドリー 元ニューヨーク連銀総裁がBloombergで、18-19日のFOMCの結果について解説した。
「経済予想の集計は、成長を下方に、インフレを上方に修正したという点で少しタカ派的だった。
ドットプロットは、今年2回から1回に変更するほどではないが、少しだけシフトアップした。
そして、パウエル議長の話し方はかなりハト派的だった。・・・
議長は、状況がすべてかなり管理可能であるとみんなを安心させた。」
19日発表のFOMCメンバーによる経済予想では、経済成長が下方修正され、年内のインフレが上方に引き上げられたものの、FF金利予想のメジアンは横這いにとどまっている。
現状の政策スタンスに対するFRBの自信を示す内容とも受け取れる。
2025年 | 2026年 | 長期 | |
実質成長率 | 1.7(-0.4) | 1.8(-0.2) | 1.8(±0.0) |
コアPCEインフレ | 2.8(+0.3) | 2.2(±0.0) | |
FF金利 | 3.9(±0.0) | 3.4(±0.0) | 3.0(±0.0) |
ダドリー氏は、これまで景気が良かったこと、まだハードデータ(経済の実績)に悪化が見られないことが、FRBに自信を与えていると分析する。
一方、同氏は、ソフトデータ(心理や予想)には急激な悪化も見え始めていることを心配する。
現実は、経済成長見通しは悪化し、インフレ見通しも悪化し、不確実性ははるかに高まっている。
これらをどうやってプラスと話すことができるか私には理解できないが、パウエルはかなりハト派的に解釈していた。
14日にミシガン大学が発表した期待インフレ率は前月から急激に上昇している。
1年先の期待インフレ率が前月の4.3%から4.9%に、5年先は3.5%から3.9%に上昇し、1993年以来の高水準となった。
ダドリー氏は、このソフトデータをFRBが軽視している点を問題視する。
現実はFRBは無視界飛行を行っており、経済成長やインフレがどうなるか本当はわかっていない。
これが政策上の誤り、出遅れのリスクを高めている。
ジェレミー・シーゲル教授はCNBCで、パウエル議長が基本的に「楽観的」だったと表現した。
ソフトデータの悪化を経済鈍化に結び付けることなく、引き締め・緩和のいずれにも舵を切れる自由度を残したと評価している。
さらに教授は、FRBの関税に対するスタンスを読み取っている。
パウエル議長がかなり明確に示したのは、仮に関税が物価上昇を引き起こしたとしてもそれは一時的なものだとしてFRBは対応しないとの意向だ。・・・
それがインフレ期待ほかに対し影響を及ぼすことが認められない限り、関税(によるインフレ)に対処しないと示唆したように見えた。
その言葉に市場は安心したのだと思う。
関税は経済を下押しすると同時にインフレ要因となる。
仮にこのインフレに反応してFRBが金融引き締めを行えば、経済はさらに下押しされてしまう。
FRBがそうはしないと暗示したことで、市場は少し安心したとの解説だ。