オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が2018年(公表日11月1日)に応じたインタビューがYouTubeで公表されている。
マークス・ファンにはお馴染みの内容だが、今だからこそ役に立つレクチャーも多く含まれている。
良い投資とは単に何を買うかだけではない。
最も重要な可動部はいくら払うかにある。
マークス氏があるインタビューで、投資の本質を語っている。
ディストレスト投資の草分けならではの発言だ。
良い投資先にせよ、悪い投資先にせよ、根源的価値より安く買うことが重要と伝えている。
そして、これを実現する大前提は、投資家が投資先の根源的価値を推計できるということ。
そして次に理解すべきは、根源的価格と売買価格の乖離がなぜ起こるのかだ。
「真の問題とは、なぜ資産が価値より高く、あるいは価値より安く売られるのかにある。
多くはサイクルだ。
サイクルを引き起こすのは多くは感情、あるいは楽観だ。」
市場に楽観が満ちていれば、価格は価値より高くなり、逆もまた然り。
前者では積極的に買うべきではないし、後者ではチャンスとなる。
マークス氏は市場の「温度」を読むスキルを身に着けるよう促し、いくつか特徴を挙げている。
熱した市場 | 冷めた市場 |
楽観的 貪欲 リスクに寛容 確信的 |
悲観的 恐怖 リスク回避的 懐疑的 |
熱した市場では、価格>価値 となりやすく「リスクオフ」が望ましいという。
ただし、ここでいう「リスクオフ」の手段には、保有資産を減らすほかに保有資産をより安全なものにシフトすることも含むという。
つまり、市場から撤退するだけが道ではないのだ。
マークス氏は、サイクルの予想についても重要なポイントを説いている。
「早すぎることは、間違いと区別がつかない」という投資の格言を紹介し、1996年のアラン・グリーンスパンFRB議長(当時)の「根拠なき熱狂」の指摘が4年早すぎたと話した。
ドットコム・バブルの破裂は2000年を待たなければならなかったからだ。
マークス氏は、時として何が起こるか予見できることがあると話すが、いつかを予見するのは困難と指摘。
それゆえに、過信に基づく投資行動を慎むべきと諭している。
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