海外経済 投資 政治

歴史と投資のスーパーサイクル:ゴールドマン
2024年2月9日

ゴールドマン・サックスのピーター・オッペンハイマー氏が歴史と投資のスーパーサイクルについて論じ、これから始まる「ポストモダン・サイクル」について予想している。


投資家は、緊急のものを見る傾向がある。・・・
しばしば重要なものを忘れている:
政策・経済活動・地政学・政治/社会的態度の長期的ドライバーだ。

オッペンハイマー氏が自社ポッドキャストで、投資家の近視眼的傾向をチクリとやっている。

オッペンハイマー氏によれば、長期トレンド重視の投資は「緊急のもの」重視よりしばしばよい結果をもたらすのだという。
同氏は第2次大戦後をいくつかのスーパーサイクルに分け、それぞれにキーワードを列挙している:

  • 大戦後-1968年頃「長い趨勢的上昇」: 国際機関設立、マーシャルプラン、力強い経済成長、低位安定のインフレ、自由貿易、ベビーブーム、消費ブーム、大きな投資リターン。
  • 1968-82「高インフレと低リターン」: 金本位制崩壊、ニフティフィフティ・バブル崩壊、労働争議、冷戦、石油危機、ボルカー・ショック、世界貿易の崩壊、債務増大。
  • 1980年代初め-2000年末「モダンサイクル」「とても高収益な趨勢的上昇」: テックバブル、グレートモデュレーション、ディスインフレ、低い資本コスト、規制緩和・民営化等による供給サイド改革、グローバル化、国際協調、ソ連崩壊。
  • 2000-09年「バブルと破裂」: テックバブル崩壊と金融危機。
  • 「ポスト金融危機」: ゼロ金利と量的緩和、金融緩和を主因に大きな上昇。

オッペンハイマー氏は、今後世界が(過去と類似点もあるものの)異なる性質の「ポストモダン・サイクル」に入るという。
そのキーワードは資本コスト上昇、グローバル化後退、地政学的緊張の変化、脱炭素化、規制強化、保護主義、軍事費拡大、財政悪化、高齢化。
資本コストが上昇し、グローバル化後退により全体での成長は低下するため、「中期的に株式インデックスでは投資家のリターンは低下する」と予想している。

投資家はよりアルファとベータに注目し選別しなければいけない。
その際、バリュエーション(上昇)が株価を押し上げてくれると期待して市場(インデックス)を買って保有するのでなく、市場間の違いを見なければいけない。

超長期の金利低下が終われば、これまでのような下駄を履いたバリュエーション拡大は望めなくなる。
インデックスを買って放っておいて得られるリターンも低くなる。
資産クラスを股にかけてよりよいリスク調整後リターンを上げろと言っているのだ。

オッペンハイマー氏は、低リターン時代の投資に必要な考えを説いている:

  • 複利を稼ぐ: 成長産業のクォリティ株、ディープバリュー株。
  • インデックスでなくアルファとベータ。
  • 分散: 米国株一択の時代から分散(資産、地域、スタイル)の時代へ。
  • AI、脱炭素化などのスーパートレンドが追い風となる銘柄。

-海外経済, 投資, 政治
-, ,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 本サイトでは、オンライン書店などのアフィリエイト・リンクを含むページがあります。 その他利用規約をご覧ください。