ゴールドマン・サックスのピーター・オッペンハイマー氏が歴史と投資のスーパーサイクルについて論じ、これから始まる「ポストモダン・サイクル」について予想している。
投資家は、緊急のものを見る傾向がある。・・・
しばしば重要なものを忘れている:
政策・経済活動・地政学・政治/社会的態度の長期的ドライバーだ。
オッペンハイマー氏が自社ポッドキャストで、投資家の近視眼的傾向をチクリとやっている。
オッペンハイマー氏によれば、長期トレンド重視の投資は「緊急のもの」重視よりしばしばよい結果をもたらすのだという。
同氏は第2次大戦後をいくつかのスーパーサイクルに分け、それぞれにキーワードを列挙している:
- 大戦後-1968年頃「長い趨勢的上昇」: 国際機関設立、マーシャルプラン、力強い経済成長、低位安定のインフレ、自由貿易、ベビーブーム、消費ブーム、大きな投資リターン。
- 1968-82「高インフレと低リターン」: 金本位制崩壊、ニフティフィフティ・バブル崩壊、労働争議、冷戦、石油危機、ボルカー・ショック、世界貿易の崩壊、債務増大。
- 1980年代初め-2000年末「モダンサイクル」「とても高収益な趨勢的上昇」: テックバブル、グレートモデュレーション、ディスインフレ、低い資本コスト、規制緩和・民営化等による供給サイド改革、グローバル化、国際協調、ソ連崩壊。
- 2000-09年「バブルと破裂」: テックバブル崩壊と金融危機。
- 「ポスト金融危機」: ゼロ金利と量的緩和、金融緩和を主因に大きな上昇。
オッペンハイマー氏は、今後世界が(過去と類似点もあるものの)異なる性質の「ポストモダン・サイクル」に入るという。
そのキーワードは資本コスト上昇、グローバル化後退、地政学的緊張の変化、脱炭素化、規制強化、保護主義、軍事費拡大、財政悪化、高齢化。
資本コストが上昇し、グローバル化後退により全体での成長は低下するため、「中期的に株式インデックスでは投資家のリターンは低下する」と予想している。
投資家はよりアルファとベータに注目し選別しなければいけない。
その際、バリュエーション(上昇)が株価を押し上げてくれると期待して市場(インデックス)を買って保有するのでなく、市場間の違いを見なければいけない。
超長期の金利低下が終われば、これまでのような下駄を履いたバリュエーション拡大は望めなくなる。
インデックスを買って放っておいて得られるリターンも低くなる。
資産クラスを股にかけてよりよいリスク調整後リターンを上げろと言っているのだ。
オッペンハイマー氏は、低リターン時代の投資に必要な考えを説いている:
- 複利を稼ぐ: 成長産業のクォリティ株、ディープバリュー株。
- インデックスでなくアルファとベータ。
- 分散: 米国株一択の時代から分散(資産、地域、スタイル)の時代へ。
- AI、脱炭素化などのスーパートレンドが追い風となる銘柄。