投資

ハワード・マークス ハワード・マークスはリスクを避けつつリスクを取る
2024年3月16日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、米市場に織り込まれている楽観についてコメントした。


市場にはゴルディロックス思考が織り込まれていると思う。
すべては良好だ。
ああ、良好かもしれない・・・・が、そうでないかもしれない。

マークス氏がAICC NSWのインタビューで市場を後押しするゴルディロックス的な思考について尋ねられた。

ゴルディロックスとは少々奇妙な使われ方をする言葉だ。
強気派が用いる時は《ほどよい》といったポジティブな事実を形容する言葉になる。
一方、慎重派が用いる時は、強気派の手前勝手なレトリック(事実ではない!)を形容する言葉になる。
この日のマークス氏はどちらかというと後の方だったようだ。

「市場に楽観が存在する時、議論している結果に関し現在もそうだと信じているが、それが単純に意味するのは期待外れの余地があるということ。
期待外れや幻滅が起こると、人々は市場から引き揚げ、証券価格は下落する。
そうなると言っているのではなく、可能性がある、その余地があると言っている。」

日頃から確率でものを考えるマークス氏は、現在の「ゴルディロックス思考」の想定する未来の確率分布が幸福よりに偏っていると考えているのだ。
結果、現実は期待外れの可能性の方が大きくなる。
マークス氏はその逆の状況を好んでいる。

「バリュー投資家、あなたが呼ぶバーゲン・ハンターとしての私にとって魅力ある市場とは、楽観のない市場だ。
みんな、状況はひどく、悪化の一途になりうると考える市場だ。」

マークス氏によれば、過去15か月で見ても市場には楽観が増えているという。
つまり、期待外れの余地が増え、損失の余地が増えているという。

リスクのあるタイプの資産は避けている。
撤退すべきとは言わないが、少し軽くしたり、注意して多く投資しすぎない。・・・
ひどいことになるとは言わないが、現在はオッズが不利だろう。
高いバリュエーションと楽観のために、投資家として川上に向かって泳いでいるようなものだ。

リスクのある資産を避けていると言いつつ、マークス氏は自社のフィールドであるハイイールド債などのクレジットの分野で株式と比べ遜色のないリターンのものがあると指摘している。
同分野の草分けとして、リスクをコントロールしていく自信があるのだろう。

インタビューの最後では、最後に見通し・意見を求められている。
AICC NSWは直訳するとオーストラリア・イスラエル商工会議所(所在はオーストラリア)。
そこでマークス氏は(あまり政治に立ち入りたくないと言いつつも)パレスチナについて話し出した。

「最も暗いのはいつも夜明け前だ。」

マークス氏は、パレスチナの平和を願い、パレスチナ経済の復興を願い、イスラエルに決断を促すような発言をした。
投資の世界ではイスラエル寄りの人も多いように感じてきたが、米国も少し変わってきたのかもしれないと感じさせる発言だった。


-投資
-, , ,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 本サイトでは、オンライン書店などのアフィリエイト・リンクを含むページがあります。 その他利用規約をご覧ください。