ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏がFOMCの結果にコメントし、米経済・市場に慎重な見通しを語っている。
おそらく利上げ開始以来で最もワクワクしない、予想された記者会見だった。
20日のFOMC後のパウエル議長記者会見に対するガンドラック氏評だ。
ガンドラック氏が自社YouTubeアカウントで19-20日のFOMCの結果についてコメントした。
ワクワクしなかったFOMCへのコメントはさておき、もっとワクワク(ゾクゾク?)するような発言部分を紹介しよう。
1つ目は、債券王のホームグラウンドであるフィクスト・インカム分野、特にハイイールド分野での投資機会だ。
同分野は昨年10月頃絶好のエントリーのチャンスを迎えた。
その後、FRBがハト派寄りにスタンスを変える等があり、リスクフリー金利・スプレッドともにタイト化(つまり価格上昇)している。
FRBは今日利下げをせず、おそらく今後数か月もしないことから、6-18か月の範囲でほとんどリスクを取らずに7%程度の利回りを得られるものがまだ残っているはず。
ほとんどリスクをとらずに7%というのがミソだ。
米イールドカーブは依然として反転していて、高いのは短期側。
FF金利は5.25-5.50%。
つまり、イールドカーブが不動なら無リスクの7%は難しい。
ガンドラック氏が予想するのは「6-18か月」のうちにそこそこイールドカーブが低下する変化だ。
同氏はインフレ低下は停滞すると見ているから、景気後退を見込んでいることになる。
ガンドラック氏は投資推奨を求められ、従前どおりだがかなり慎重な推奨を述べている。
リスクのあるものに新たな積極的なポジションを取るような状況じゃない。
- 何か買うならドルコスト法で。
- ハイイールド: スプレッド299 bpは売り。
- 米国株: モメンタム・トレードは売り。米国株なら単純平均インデックス。マグニフィセントセブンは持たない。
- 日本株・インド株: 米国株よりよい。
さらに、ガンドラック氏は、市場が今後バブルに発展する可能性を示唆している。
ドットコム・バブル前夜を回顧し、どう振舞うべきだったか書いている。
「1999年第3四半期の終わりまでで(株式は)今よりもっと買われていたが、1999年第4四半期に特にNASDAQは80%上昇した。
それは1999年9月10日に買うべきだったことを意味しない。
なぜなら、2000年9月30日までにピークから85%下落したからだ。」
もちろん、神がかった能力でピークのタイミングを予見できるならバブルに乗ればよいのだろうが、マーケット・タイミングはうまくいかないというのがほとんどの投資家にとっての真実だ。
もちろんバブルなどやって来ないかもしれない。
しかし、その場合でも、弱気相場はいつでもやって来うるものだ。
ガンドラック氏は、市場のリスクの高まりを指摘する。
「市場には大きなリスクが存在する。
市場はここまで上昇しており、FRBについて今日はインフレが下がったと言われている。」
何がリスクなのか。
もちろんリスク資産が上昇したのもリスクだ。
しかし、もう1つのリスクは、インフレが収まりつつあるとFRBも市場も思い始めていること。
インフレが収まるなら金融引き締めを続ける理由はない。
FRBには景気を悪くするモチベーションはないから、インフレが起こらない範囲で緩和的政策が選択されよう。
しかし、それは市場の安定を揺るがすかもしれない。
(FRBのデュアル・マンデートには明示的に市場の安定は入っていない。)
1990年代後半がまさにそういう状況だった。
ガンドラック氏は波乱含みの展開を予想する。
興味深い時を迎えそうだ。
経済は弱まり、それがパブロフの犬による利下げを促すが、長くは続かないだろう。
そして、ある種のスタグフレーション的な状況を生み出すはずだ。