バークシャー・ハザウェイのウォーレン・バフェット氏が、同社の定時株主総会で投資環境と進捗について語っている。
このテーブルに座っている誰もが、このお金(1,890億ドル)をどう有効に使うかについてアイデアがない。
だから(キャッシュの利回りが)5.4%の今は使わない。
でも、1%だったら投資していたろう。
(CNBC)
バフェット氏が、莫大なキャッシュを積み上げている理由を話した。
投資は選択だ。
潜在的な投資先とそれ以外の選択肢を比較しどこに配分するかを決める。
今は、手元の投資案件より5.4%のキャッシュの方が有利と見ているのだ。
「私たちは好きなピッチャーの時だけバットを振るんだ。」
お金があるから投資しなければいけないのではなく、絶好球が来たからうちに行くのだ。
バークシャーはトータルリターンを目標とする、ある意味個人投資家に似た投資家といえる。
バフェット氏は、十分なサイズの絶好球が見当たらないと話している。
バフェット氏は、同社がアップル株を売却した理由を尋ねられている。
第4四半期こそ小規模だったが、第1四半期は持分の約13%を売却したと見られる。
これが、アップルに対するスタンスの変化ではないかとの思惑を誘っている。
バフェット氏は、ベンジャミン・グレアムの『賢明なる投資家』から学んだ投資の手法を説明している。
「お金の投資のしかたとして、私はすべての株式を事業(企業)として見ている。
そして、市場を予見しようとはしない。・・・
これが私たちがアメリカンエクスプレス、コカコーラというすばらしい事業を保有する理由だ。
これが、アップルというさらによい事業を保有する理由だ。・・・
アップルはわが社の最大の投資先であり続けるだろう。」(CNBC)
長い前置きだったが、お気に入りだったアップル株について心変わりしたというわけではないようだ。
では、何が理由なのか。
政府が決めた(連邦税)率は現在21%。
現在の財政政策なら・・・税率引き上げの可能性は高い。
アップル株は投資額が巨額で、さらに含み益も莫大だ。
将来税率がかつてのような水準(35%、52%)とまではいわないまでも上昇する可能性が高いなら、先に益出ししておくのも運用者の責務だというのだ。
(一方で、税を正しく払う意義にも言及している。)
アップル株についての質問の関心事はミクロであると同時に、マクロでもあったのだろう。
他の質問では、現在と1999年の類似性について問われている。
「私は1999年と似ているとは思わない。
・・・何か本当に劇的なことがない限りね。」
大規模なバーゲンはないが、バブルというほどでもない、ということか。