ブリッジウォーター・アソシエイツのカレン・カーニオルタンブール氏が、分散投資等について語っている。
その中で、外国勢の日本株投資の魅力の1つが語られており、かつそれが停止・反転しうると暗示されている。
みんなのポートフォリオの地域性を見ると、極端に米国に集中している。
カーニオルタンブール氏がMilken Institute主催のコンファレンスで分散投資の重要性を述べた。
公開株では時価総額が重視され、未公開市場では投資の実行能力が条件となり、結果、米国集中が進んだという。
ブリッジウォーターを世界一のヘッジファンドにしたのは、オールウェザー戦略に代表される分散手法だ。
今回カーニオルタンブール氏が分散のために活用可能と挙げたのが日中などアジア市場だ。
「これらの国々は独自の金融政策を実施し、独自の原動力を有するため、根本的に異なる相関を持っている。」
さらに、仮に似たような動きをする国々でも、タイミングにずれがある場合、為替が効いてくるとも指摘している。
特に今サイクルでは、日本が金融引き締めで欧米に大きく出遅れ、それが為替レートに影響を及ぼしている。
「これまで長期投資家はさほど為替について心配する必要がなく、この問題を考えずに投資してきた。
それでよかった。」
為替レートが二国間の物価の差を埋めるのであれば、長期で見ればインフレの差は為替レート変動の差で相殺されると考え、投資においてあまり重要な検討点ではなかった。
だから、長期投資家はこれらについてあまり気を配る必要がなかった。
しかし、景気や金融政策のタイミングのずれが大きいと、そうとも言えなくなってくる。
インフレ、そして為替レートが大きく変動する環境では為替ヘッジの有無が大きなポイントになっているという。
どの国の株式市場のパフォーマンスがよいかとの質問の答は、為替ヘッジの有無に大きく依存する。
日本株は、もしも為替エクスポージャーを考慮し、それを取りたくないとしていたなら、驚異的で信じられないほどのパフォーマンスだった。
ここに外国人投資家の考え方がよく表れている。
メディアなどで、現地通貨建て株価指数を国別にランキングにし、日本株が良好などと煽る輩がいる。
もちろん為替換算で比較しなければ意味がない。
インフレが酷い国の名目株価は高いのが通例で、トルコ株もジンバブエ株も名目株価は他のほとんどの国々より速やかに上昇している。
為替ヘッジは様々な形でなされる。
為替予約等々・・・
その1つのやり方は、バークシャー・ハザウェイがやっているように、円建て投資の資金調達を円債発行で賄う方法だ。
これは、為替ヘッジと資金調達を兼ねた方法。
日本株に投資しているが、円のリスクはヘッジ済みで、狙いは日本の大手商社が有する主に海外でのキャッシュフロー(の価値)だ。
日本のリスクを取ったというより、日本からみて海外のリスクを取ったという面が強い。
カーニオルタンブール氏は、最近の急激な円安の間、日本株に投資する海外勢にとって為替ヘッジがリターンの大きな源泉になったと話し、投資においてはこの点を考慮すべきと話した。
最近の日本株の上昇は、為替換算すればとりたてて「驚異的で信じられないほど」ではなかった。
しかし、同時に為替ヘッジ(円売り)をしていれば、円安によって大きなリターンが得られていた。
これまで円安は比較的張りやすかったかもしれない。
仮に今後ドル円が反転しうるなら、外国勢にとっての日本株投資ははるかに知恵を要求されることになる。
(次ページ: 日本株に投資する前に自問すべきこと)