ジェレミー・シーゲル教授が、前向きなスタンスを維持しつつ、いつもよりおとなしめな経済・市場分析を語っている。
実体経済のデータに関し、先週より今週の方が経済のペースについてはるかに安心感を感じている。
シーゲル教授がウォートンビジネスラジオで語った。
多くのイベントがあった割には、市場への影響への方向性は見出しにくかったのかもしれない。
コンピュータ不具合、大統領選、FRB金融政策、雇用やGDPについてコメントしているが、いずれも市場に明確な方向性を与えるものとしては語られていない。
それは、米市場でのファクター・ローテーション(?)についても同様だ。
CPIに低下傾向が見られ、FRB利下げ期待が高まると(シーゲル教授の従前の予想よりやや早く)ローテーションのような動きが見られ始めている。
金利低下の恩恵をより多く受けるバリューや小型株のアウトパフォームだ。
しかし、教授はまだ半信半疑のようだ。
「通常こうした大きな乖離が生じる時には、市場全体が大きく上下に動くものだが、今回は単に合間に大きなローテーションが起こっている。
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その前の2か月を見ると、大型株が小型株を大きく上回っていた。
トレンドを見れば、長期トレンドは壊れておらず・・・大型株はバリューとの比較で依然として強い上昇トレンドだ。
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グロース株が2022年に大きく下落する前、好調だったパンデミック時のピークの頃と比べ、バリュエーションはまだはるかに上だ。」
シーゲル教授が本格的なローテーションに関しまだ確信を持てない理由の1つは、今年前半にとても短い騙しがあったこと。
チャートに一瞬バブル崩壊を思わせる瞬間があったが、その後すぐに再びグロース・大型株がアウトパフォームしている。
今回はFRB利下げ期待の高まりという材料があるものの、利下げはまだ確実となったわけでない。
その点で、今回のローテーションは教授の予想するタイミングより少し早い。
これらバリュエーションのニュースが本当にそうなるかどうか注視しないといけない。
利下げとファクター・ローテーションを関連付けて議論するということは、サイクルとローテーションを関連させるのに近い。
そうならば、ローテーションが近づくということは市場全体のピークアウトを示唆するのかもしれないから要注意だ。