ジェレミー・シーゲル教授が8月の雇用統計の結果にコメントしている。
同統計では、失業率ほどわずかに改善したものの、非農業部門雇用者数は市場予想を大きく下回った。
雇用統計は、弱めだが、悲惨ではなく、間違いなく強くもなかった。
シーゲル教授がウォートンビジネスラジオで、6日発表の米雇用統計を総括した。
米市場は煮詰まりつつある。
最重要の統計は雇用をはじめとする景気指標とCPIだろうが、みんな何となく似たような予感を抱いている。
CPIが落ち着きつつあるという方向性と、景気は鈍化するだろうという方向性だ。
こんな雰囲気だから、最近の識者のコメントには新たな展開を予感させるようなところが乏しい。
この日のシーゲル教授のコメンタリーも然り。
新たな変化はほとんど感じられない。
ここではもう一言だけお伝えしよう。
この1年言ってきたのは、FF金利先物には下方バイアスがかかっているということ。
実体経済が弱くなることがもはや株式にプラスではなくなり、現在、下方バイアスが強まっていると考えている。
リスク資産のヘッジのためにFF金利先物が買われている。
市場の利下げ期待が過大との指摘は少なくない。
シーゲル教授は、この原因が、投資家による短期金融商品への逃避のために起こったと考えている。
さらに、景気鈍化が株式にプラスというような都合の良いゴルディロックス思考が消えつつあると言いたいのだろう。
シーゲル教授は従前どおり景気後退・弱気相場は予想していない。
仮に景気後退となれば、EPSが低迷し、リスクプレミアムの上昇でPERも低下し、株価が下げるだろうことを認めつつ、そうなれば、この10年で一番の格好の買い場になると強気を崩していない。
《永遠のブル》は相変わらずブルだ。
ただし、話の方向性は基本的に景気鈍化の方に張り付いている。