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【短信】FRBはスピード違反:ジェレミー・シーゲル

ジェレミー・シーゲル教授が、今晩(日本時間)のFOMC終了を前に持論を寄稿している。
市場とFRBの利下げ予想の乖離に危機感をにじませる内容だ。


パウエル議長が(利下げ幅を)25 bpとするか50 bpとするかは、時速40km制限の曲がりくねった下りの山道を100km/hで走るドライバーに似ている。
常識的には、道がデコボコになるにしたがってゆっくりと55km/hまで減速するのではなく、すぐに減速すべきだ。

シーゲル教授がFortuneへの寄稿で、早期のFRB利下げの必要性を訴えた。
ここで用いた比喩が鮮烈だ。
中立金利を40km/h、FF金利を100km/hとして、金融政策が極度の引き締め状態にあると示唆している。
また、FRBが企図している引き締めペースでは、FF金利が中立金利より高い状況(=金融引き締め)が続くと指摘している。
教授は、FRBのデュアル・マンデート(雇用と物価)が達成に向かいつつある中で、この強さの引き締めは適当でないと主張しているのだ。
ミルトン・フリードマンによる「金融政策は『長く変わりうる遅れ』をともなって働く」との言葉を引用し、利下げが実施されても効果が発揮されるのには時間がかかると警告している。
シーゲル教授は、市場とFRBの予想の乖離を心配する。

「債券市場は今後12か月でのFF金利の大幅利下げを織り込んでいる。
10年債は現在のFF金利より大幅に150 bpも低位にある。」

債券市場とFRBの見通しに大きな差が生じている。
ただし、どちらが正しいかはわからない。
もちろん、FRBが市場に追従しなければならないという話ではない。
ただ、この乖離がいつか収束するには、市場かFRBのいずれかが動く必要があり、それがサプライズとなる。

もしもFF金利がFRBの6月の『ドット・プロット』に沿って徐々に引き下げられていくなら、債券トレーダーが間違っていることになる。
そして、10年債利回りは大きく上昇し、大きく株式・債券・不動産の市場を弱くし、急激に景気後退確率を増大させるだろう。

CME Fedwatch toolによれば、現時点の市場の利下げ幅は50 bpが2/3、25 bpが1/3となっている。

先週金曜日のポッドキャストでシーゲル教授はFOMCをこう予想していた。

「私は25 bpの利下げを強く予想する。
それが適正水準というのではなく、私はもっと速い利下げを望んでいる。」

これが当たるなら、今晩以降、最初のサプライズが走るのかもしれない。


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