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アベノミクスとは全く異なる:ジェレミー・シーゲル

ジェレミー・シーゲル教授が、日本株への前向きなスタンス、為替ヘッジの是非について語っている。


(中国の刺激策は)短期的に日本にとって好ましい。
先行き影響はあるだろう。
でも、新興国市場、日本にとって好ましく、もちろん中国にとって間違いなく好ましい。

シーゲル教授がウォートンビジネスラジオで、CNBCでの日本推しを繰り返した。
先行きの影響とは、日本が恩恵を得ることで円高に振れ輸出株に不利に働くことだが、それは少し先の話との見方だ。

シーゲル教授は日本経済・市場のファンダメンタルズが良好と見て、ドルベースの投資家の為替への対応について解説する。

「(日本への投資で)円相場をヘッジするか否か決めないといけない。
仮に円高になるとしても、それは円高にしようとしてなるのだろう。
結果、過熱して円高になるのなら、そういう状況ではもちろん円をヘッジしないはず。
アベノミクスが円安を望んだ15年前に起こったこととは全く異なる。
日本株を上昇させたが、当時は明らかに円をヘッジすべきだった。」

アベノミクス初期、日本株が大きく上昇したとして日本株を持てはやす政治家・セルサイドがいたが、それは現地通貨建てでの比較の話。
当時、急激な円安が誘導されており、為替換算すれば、日本市場はとりたてて大きく上げたわけではなかった。
外国投資家はアベノミクスが円安を望むもの、またそうなると確信していたから、為替ヘッジを入れていた。
つまり、円安の悪影響を被らないようヘッジしており、実際そのヘッジは極めて有効だった。
アベノミクス初期に日本株で米国株をアウトパフォームしたドルベースの投資家がいたなら、主因は日本株の価値上昇というより為替ヘッジのもたらした利益だったのだ。

今回は状況が大きく異なる。
かつて日本が望んだ1ドル120円前後よりドル円は大きく円安になっており、それが国内資産の実質的価値と消費者の購買力を低下させている。
輸出やインバウンドに有利だからといって円安を喜べない状況だ。
政府・日銀による見え見えの円安誘導を前提にした円売りヘッジで手堅く稼げる状況ではない。

本来、日本に(為替ヘッジなしで)投資する外国投資家にとって、円高は有利な要因でもある。
しかも、シーゲル教授は、当面起こりうる円高の要因を堅調な日本経済と考えている。
ならば、為替ヘッジなしが選択されることも多くなり、日本株と円のダブル高も期待できるのではないかと考えている。

為替についてどうすべきかはショックの原因によって違ってくるが、少なくとも私にはこの要因の組み合わせが日本株にとって有利に思える。

1つ注意すべきことがあるとすれば、これまでのシーゲル教授の日本株推しの大きな理由には日本株の低バリュエーションがある点だ。
仮に、今後起こる円高の原因が(短期的に)堅調な経済ではなく、(中期的な)世界の経済・市場の悪化によるリスクオフである場合、それほど強気とはなれまい。
(実際、世界の景気、それに強く影響を受ける日本の景気が先行きを決する。)
しかし、その場合でも、為替ヘッジなしで日本株に投資する外国投資家は、円高の恩恵を受けられるのだろう。


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