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アスワス・ダモダラン 【短信】インド株はとても高い:アスワス・ダモダラン

アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、前途洋々たるインドとインド株の間のリンクについて語っている。


最終的に株式のリターンとは、当初払う金額と払ったものから得られると期待されるキャッシュフローによって決まる。
現在のインド株に極めて高い価格がついていることには議論の余地がない。

ダモダラン教授がET NOWで、インド市場の株価水準について語った。

インドSENSEX指数の現状のPERは約24倍、益回り4.2%。
インド10年債利回りは7%弱。
益回りが名目長期金利を下回る水準にある。

ダモダラン教授は、インド株が買われる背景にインド人の潜在力に着目した前向きなストーリーがあると指摘する。
その一方で、このストーリーとインド株が混同されているという。

インド株について全体の価格水準を見る場合、インド国債より3%を超えるリターンとなるなら、私には驚きだ。
・・・
インドのストーリーとインド株の間のリンクは少し弱いところがある。
それが強い成長力によって覆い隠されている。

ダモダラン教授は、インド株への投資家が「今後10年順調に行くと期待している」点を心配する。
現実には「3歩進んで2歩下がる」ような展開になるだろうとし、「トレンド線が上向きである限り勝利だ」と諭した。

不正確なのを覚悟して、益回りから織り込まれたリスクプレミアムを目の子計算しておこう。
益回り4.2%を実質ベースの期待リターンと読み替える。
7%弱の名目長期金利、3.65%の8月のCPIから実質長期金利を3%超と概算。
これらの差である株式リスクプレミアムは約1%と計算される。
これは相当に小さい数字だ。

ダモダラン教授が定期的に公表しているデータによれば、今年7月時点のインド株のリスクプレミアム(投資家が要求すべきプレミアム)は、格付からの計算で6.80%、CDSからの計算で4.60%となっている。
現状の小さいリスクプレミアムは現株価が高水準であることを示しており、発射台が高いことで6.80%や4.60%のリスクプレミアムを実際に得ることは難しくなる。
このためダモダラン教授は、よくて3%と話したのだ。

インド株は日本でも人気化している。
仮に上で計算した3%超の実質長期金利と、ダモダラン教授の予想、よくて3%のリスクプレミアムを足して、実質期待リターンを6%と考えたら、日本人にはどう映るだろう。
いまだに実質長期金利がマイナスに深く沈んでいる日本と比べれば魅力的に映るかもしれない。
しかし、日本人が他の地域とインドを比較する時、実質6%がどれほど魅力的だろう。
この比較には為替の見通しが関係してくるが、先進国よりは高いインドのインフレは為替の面でも不利と考えるべきかもしれない。


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