グリーンライト・キャピタルのデービッド・アインホーン氏が、選挙結果を受けてインフレへの賭けを増やしたと語っている。
「1週間ほど前に私が心配していたのと比べて、いろんな意味で(選挙結果は)政治的安定という意味でとてもよい結果だった。」
アインホーン氏がCNBCのインタビューで語った。
前回大統領選のように結果に疑義が持たれるようなこともなく、白黒がはっきりついたことに安堵した様子だ。
ただし、同氏は決して米政治に安堵しているわけではない。
選挙結果を受けてポートフォリオに手を加えたか尋ねられると、次のように語っている。
「インフレへの賭けを増やした。・・・
今後数年でインフレが上昇するだろう。」
グリーンライトは基本的にはミクロ・ファンドだが、最近ではマクロ・ヘッジを大きく入れている。
具体的には、インフレをヘッジするために金のポジションを取ってきた。
同ファンドは選挙前から、誰が勝とうがインフレが進むとの見方を示してきたが、やはり相対的にはトランプ政権の政策の方がインフレ的になると見ているようだ。
来年について3.5-4.0%のインフレを予想しているという。
アインホーン氏は、新政権がインフレにどう対処するかは予想がつかないという。
インフレに耐えようという議論がある。
政権は、可能な限り経済を熱しインフレに耐える方がよいと考えるかもしれない。
彼らがどうするか、私にはわからない。
アインホーン氏は、インフレ的な政策に懸念を持っているようだが、当面の経済・投資環境について弱気であるわけではない。
- 経済は良好で、かなり熱しつつある。
- 株式市場は良好。資産価格は高い。
- よいクリスマスになる。
- 賃率3.5%、生産性2%の上昇で賃金は5-6%の上昇も。
アインホーン氏は、「すべての人がすばらしいとは感じなくても、全体では経済はかなり強い」と足元の状況を説明する。
しかし、同氏の投資スタンスは楽観的とは程遠い。
わが社は完全に弱気というわけではない。
創業以来で最も割高な市場になっている。
アインホーン氏は、市場の一部に極めて割高な部分があると見ている。
長い目で見て現在がエントリーにとってすばらしいタイミングだとは考えていない。
しかし、当面の相場については、利上げ以前に多く存在したマイナス利回りの債務性投資を例に挙げ、不合理なものでもしばらくは存続しうると話している。
「割高な株式市場が必ずしも弱気相場となるわけではなく、すぐに下げるわけでもない。
私は特段弱気ではなく、何が市場を壊すのか予想できていない。」
リーマン危機の直前、リーマンブラザーズ株を空売りしたアインホーン氏は、その成功で大きく名を上げた。
そのアインホーン氏でも、次のトリガーはまだ予想できていないようだ。
同氏は、とても高い市場の中でも、銘柄選別によってまだ長期投資に資する銘柄は見つかると説明する。
ワクワクするような銘柄ではなく、CNBCやスタッフが話題にしたいようなものじゃない。
明日、来月などで上がるとは限らないが、みんなにバカにされ嫌われても、保有するに足る、絶対的ベースで割安な銘柄が存在する。
・・・一方で、おそらく割高で悪化している、もっと注意すべき銘柄も多く存在する。