オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、一見ささいに見える伝え方について、自身のこだわりを語っている。
すべての投資メディアが倣ってほしい点だ。
「世界は混沌としていて、未来は常に明白でない。・・・
だから、私たちは個別企業を見るだけにしている。」
マークス氏がBloombergで、ボトムアップのミクロ投資に注力してきた理由を語っている。
オークツリーがマーケット・タイマーでもマクロ・ファンドでもないと述べている。
キャスターが米市場等を「割高」と述べたのに対して、「割高」にはすでに判断が含まれており、自分は「高い」としか言わないと返している。
例えば、米国株のバリュエーションが過去と比べて高い方にあるのは同意できる。
私にとっての意味は、いつもより少し積極的でなくしよう、少し防御的にしようということであり、必ずしも(市場から)退出してしまうということではない。
退出は本当に大きなステップで、この業界での55年のキャリアのほとんどの場合で誤りだった。
マークス氏は、退出が大失敗になる最近の例として、パンデミック、ロシアのウクライナ侵攻、ハマスのイスラエル攻撃を挙げている。
同氏によれば、不確実な世界では、「リスクオン/リスクオフ、買い/売り」などと「白黒」二分する考えは適切でなく、スタンスを較正(カリブレーション)すると考えるべきという。
1つには、投資家とは投資残・リスクエクスポージャーを持つことで報われる存在だと言いたいのだろう。
最近で言えば、ウォーレン・バフェット氏が手元現金を増やしたことが市場の憶測を呼んでいるが、マークス氏は、バフェット氏が保有株すべてを売り切ったわけではないと釘を刺した。
このあたりの議論は、単なる言葉の問題に聞こえるかもしれない。
しかし、マークス氏にとってはこだわりたい点であるようだ。
短期のマーケット・タイミングがほとんどの投資家にとって良い結果を生まないと考えており、「白黒」二分する考え方がそれを助長しかねないと考えているのだ。
同氏は、投資家に向け真意を語っている。
ポイントは、投資とは良いことだ。
早く始めなさい。
たくさん投資なさい。
そうすれば、将来へのたくわえになる。
それをめちゃくちゃにしてはいけない。