ジェレミー・シーゲル教授が、従前どおり長期金利のさらなる上昇を予想しつつ、それが必ずしも悪いことばかりではないと説明している。
この番組で何回か、長期金利がさらに上昇するとも言ってきた。
これは必ずしも不健全な展開ではない。
シーゲル教授がCNBCで、18日のFOMC後の記者会見後に起こった金利上昇と株価下落についてバランスを取る解説を述べている。
教授の解説は至極正統的なものだ:
- 長期金利上昇で3年ぶりにイールドカーブが順イールドになったが、これは正常・健全なこと。
(逆イールドは金融仲介機能を阻害し、経済に悪影響を及ぼすというのが一般的見方。) - 今後の利下げ幅予想の縮小の原因となった中立金利上昇は、強い経済成長のためであり、悪いものではない。
株式に有利、債券に不利に働く。
シーゲル教授は総括する:
金利上昇は、それが生産性上昇や実質GDP成長率上昇によるものならば、必ずしも悪い状況を意味するものではない。
これらこそ(最近の)長期金利上昇の原因の1つだ。
この発言は金利上昇が株式等リスク資産にとって悪いこととは限らないと述べたものであり、全く正しい。
しかし、それにしては《永遠のブル》の言い方が抑制的に聞こえないか?
その理由は、金利上昇を2つの要因に分けることで正しく理解できるかもしれない。
すでに手元に保有している株式・債券に対する影響を整理してみよう。
- 期待インフレの上昇: 相対的には株式に有利で、債券に不利。
絶対的には株式に不利に働く要因があり、債券には確実に不利。 - 実質金利の上昇: それが強い経済によるものなら株式に有利で、債券に不利。
それが金融政策によるものなら、株式にも債券にも不利。
(これら比較は、すでに保有している資産についてのもの。
債券の再投資まで勘案すると、差が縮まってくることに注意。)
今回のFOMCでFRBがタカ派に振れたのは、インフレも経済も以前の想定より強くなったとの考えからだろう。
そうだとすれば、株式への絶対的な影響は1勝1敗の引き分けといったところなのではないか。
《永遠のブル》がやや抑制的なのも理解できるというものだ。