オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、25年前の大当たりの予想を繰り返している。
今回も大当たりになってしまうのか心配だ。
「初めて私のMemoに読者から反応があったのは、ちょうど25年前の今日公表したMemoだった。(書き始めてからほぼ10年間は、ほとんど反応がなかった。)
Memoのタイトルはバブル・ドットコムで・・・」
マークス氏が2日のMemoで、25年前のMemoに言及し、同じテーマを取り上げている。
まさに《継続は力なり》。
バブル・ドットコムと題するMemoによって同氏の10年間の努力が実を結んだわけだ。
25年前とはどんな時期だったか。
2000年1月2日とは、まさにITバブルがピークに向かおうとする時期だった。
数か月のうちにバブルは弾けたから、マークス氏の警告は《早すぎず、遅すぎず》だったと言えるかもしれない。
マークス氏は今回のMemoでも行動ファイナンス的な考えを中心に、現象から法則を抽出し、現在を点検しようとしている。
同氏は、バブルには株価急騰以外にも次のような特徴が見られるという:
a) 強い根拠なき熱狂
b) 対象企業・資産への一方的崇拝と、それらが失敗しないという信仰
c) FOMO(取り残される恐怖)
d)「高すぎる価格などない」との信念
なるほど、現在について疑ってみるべき点は多くあろう。
すぐに思いつくだけでも容疑者は少なくない:
a) ミーム株、暗号資産、NISAブーム、・・・
b) 暗号資産、米国株、マグニフィセント7、・・・
c) NISAなど新規参入ブーム、・・・
d) 暗号資産、マグニフィセント7、米国株PER、・・・
これら容疑者が濡れ衣となるか、有罪判決を受けるかは予見しがたい。
ただし、リスク管理とは有意な可能性のあるリスクに備える営みだから、杞憂となるのを願いつつ心配はしておこう。
マークス氏は「強気相場の3段階」を紹介する:
- 市場の底・クラッシュ: みんな打ちひしがれる。一握りの非凡な洞察力の持ち主のみが上昇を予想できる。
- 好調な経済・企業・市場: みんな改善に同意する。
- 絶好調な経済・企業・市場: みんな永遠に改善が続くと予想する。
FRBが異例のペースで利上げを実施した時、人々は怖気づき、景気後退・弱気相場の可能性を語り始めた。
しかし、今では、比較的弱気な人でも、米経済の強さを否定できないでいる。
第2段階はすでに実現し、第3段階が部分的に実現しかけているのかもしれない。
その兆候についてマークス氏は有名な先例を引いている。
「伝説によれば、J. P. モルガンが問題に気付いたのは、靴磨きが彼に株の極意を語り始めた時だったという。」
市場に新たに多くの参入があり、ビギナーズラックに恵まれた初心者が自分の能力に溺れる。
読者の周りにも、新規参入者は多く見つかるのではないか。
相場があと一伸びすれば、そういう人たちが極意を語り出すかもしれない。
いや、すでに過去14年間の上昇相場でそれは起こっていたのかもしれない。
(次ページ: ハワード・マークスの達観)