ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が語ったとされる8つの予想が報じられている。
やや断片的ではあるが、つなぎ合わせて真意を深読みしておこう。
今回は違う。
バスから降りるべきだ。
新しい環境になった時のように、新たな環境をどう乗り切るか理解しないといけない。
ガンドラック氏が長期側の金利について10日のウェブキャストで語ったとThink Advisorが報じている。
「新たな環境」とは過去40年余りのようには趨勢的に金利が低下しない環境だ。
以下、8つの予想:
- S&P 500下落: 1990年以降と比べ極めて割高。移動平均線から見ても伸びきっている。
- 単純平均インデックスが魅力: 加重平均インデックスがダブルトップに。
- バリュー株: 買いのチャンスだが、利下げ予想が縮小したことでやや後退。
- 個人投資家の期待: 高すぎる期待は裏切られるだろう。
- 米30年債: 景気後退なら価格が下落(金利上昇)し、逃避場所とならない。
- MBSに改善の兆し: 利下げ幅が小さくなりボラティリティが小さくなればエージェンシーMBSに有利。
- 短期債等のリスク: 利下げ方向ならMMFには再投資リスクがあるので、比較的低リスクの中期債ファンドを推奨。
- 物価連動債: 中立。ただしインフレは当面2%超にとどまると予想するので下方リスクは小さい。
ガンドラック氏は従前どおり、もはや趨勢的な金利低下局面ではないと考えており、仮に景気後退入りしても長期側での金利低下を予想すべきではないと示唆している。
ただし、その挙動はイールドカーブの部分によって当然異なる。
複数の発言をつなぎ合わせると、今回の利下げサイクルのシナリオについて次のように解釈できる。
- インフレは当面2%目標まで低下しない。
- 今回の利下げサイクルは(市場が見るとおり)小幅になる可能性がある。
- それでも短期から中期では金利は低下するだろうから、避難先はなるべく長く利回りをフィックスできる中期。
- 歴史的に大きく割高な株式は避難先にならない。
- 30年金利は仮に景気後退でも(過去40年間とは異なり)低下せず上昇するだろう。
ガンドラック氏が10年金利でなく30年金利を予想したところを見ると、10年は(従前どおり)下がると見ているのかもしれない。
一昨年の時点で同氏は、次の景気後退で量的緩和が再投入されうると話していた。
今もその可能性を見ているなら、操作の対象となる10年は予想の難しい年限だ。
今回は転換点が強く意識されているのか、ストーリーが読みやすいように感じられる。
後日ウェブキャスト全編が公表されるようなら、原典に当たるとよいだろう。