グリーンライト・キャピタルのデービッド・アインホーン氏が、自社バリュー投資のモデル、ウォーレン・バフェット氏による資産の現金化についてコメントしている。
バリュー・トラップは大いに蔓延しており、継続する可能性が高いだろう。
私たちの対処法は、毎年2桁の資本を株主に還元する企業に集中することだ。
つまり、自社株買いや配当で2桁のキャッシュ・リターンだ。
アインホーン氏がノルウェーのバリューベース投資家SKAGEN Fondeneによる質問に答えた。
バリュー株の株価が割安水準に置かれ続けるバリュー・トラップについてどう回避するかとの質問だ。
アインホーン氏は従前から、パッシブ投資の拡大により市場による価格発見力が失われていると主張してきた。
その結果、割安株を買ってもいつまでも価格が価値に収斂しない。
これが従来のバリュー投資家のビジネス・モデルの成立を拒んでいるという。
そのため、同氏は、市場ではなく発行体からの回収を重視するモデルを実践している。
「(株主還元によって)株価が下がらないわけではないし、素晴らしいリターンが得られるわけでもないのだが、私たちは、他の投資家がその銘柄を再評価することよりも、その企業がいくら私たちに還元してくれるかを主に重視している。
他の投資家が再評価してくれれば、特にそれがポジティブな再評価ならボーナスになるが、それを主に期待して投資しているわけではない。」
投資対象の企業が良好な業績を上げている限り、仮に株価上昇としての評価は受けられなくとも、企業のバランスシートの余裕は増えてくる。
余剰のキャッシュをきちんと還元してくれる企業ならば、値上がりと市場売却による回収でなくとも、十分にリターン率が稼げるとの考えだ。
2-3年のホライズンで見て魅力的に見える割安な分野を尋ねられると、アインホーン氏は2つのポイントを挙げている。
- さらに下がるPER: 11-15倍だったのが5-6倍になっているものもある。時価総額10-50億ドルの企業で見捨てられた企業が多くある。こうした中で、発行体から十分な回収が望める銘柄を物色。
- 欧州株(除く自動車): ウクライナ戦争終結の確率が高まった。実現すれば安くなっていた欧州のシクリカルにチャンス。中国との競争が激化している自動車は例外。
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