ウォーレン・バフェット氏が22日付の株主宛て書簡で、日本の5大商社への投資について書いているので紹介しよう。
米国集中に対する、小さいが重要な例外であるのが、日本への投資拡大だ。
バフェット氏が、事業・投資先についての説明の最後に、日本の商社への投資に触れている。
年末時点でバークシャーの「部分投資」(連結しない投資)は2,720億ドルと書かれている。
5社への持分の時価は235百億ドル。
1割に満たないものの、AppleやCoca-Colaなどとともに「重要な例外」とされたことの意味は大きかろう。
バークシャーが最初に5社の株式購入に算入したのは2019年7月だ。
財務記録を見て、ただただこれら株式の安い株価に驚いた。
年が経つにつれ、これら企業に対する私たちの敬意は一貫して高まっている。・・・
グレッグ・アベル(訳注:後継者、バークシャー副会長)も私も、各社の資本政策、経営陣、投資家に対する敬意ある態度を好ましく思っている。5社すべてが適切な時期に増配し、理に適った時に自己株買いを行っており、経営トップは米国のライバルと比べ報酬制度について貪欲でない。
5社に対する最大限の賛辞と言ってよいのではないか。
礼儀・節度をわきまえた日本の大手企業が賛辞を受けたことを素直に喜びたい。
5社に対する持分は長期投資であり、各社の経営陣を支持している。
当初、私たちはバークシャーの持分を各社の株式の10%未満に維持することに合意していた。
しかし、この限度に近づくにつれ、5社は緩やかに限度を緩和することに合意した。
5社すべてに対するバークシャーの持分は、時間をかけて少し増加するだろう。
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グレッグやその後の後継者がこのポジションを何十年も保有し続けると期待している。
また、バークシャーは、将来5社と生産的に協働する別の形を見つけることだろう。
バフェット氏は、長期的な話として5社への投資拡大を示唆している。
マイノリティ投資であるうちは、全社への持分を増やす意向のようだ。
注目は「将来5社と生産的に協働する別の形」が何を意味するかだろう。
これまでバークシャーは、日本の商社と投資案件での協働の意図を示唆している。
さらにそれを超える形を模索するのであれば、買収も視野に入ってこよう。
仮に1社の買収を行うような時代が来れば、他4社へのマイノリティ投資は見直しの対象となろう。
そういう局面まで想定するなら、第3者である投資家は正しい1社を選ばないといけなくなる。
そして、その選択は至難の業だ。
(次ページ: バフェット氏の商社投資は壮大な円キャリートレード)