ジェレミー・シーゲル教授が、予想の端々に「経済が再び悪化しない限り」という条件を付している。
景気後退がメインシナリオではないにせよ、教授が思い描く確率が上昇しているのではないか、と思わせる現象だ。
(雇用統計の)主要な数字や従業者数こそ大丈夫なように見えるが、(雇用の)弱さが家計調査の方に表れていた。
数十万人が職を失っており、私がショックだったのは、特に景気後退期でもないのにU6失業率(広義の失業率)が見たこともないほど急激に上昇したことだ。
シーゲル教授がウォートンビジネスラジオで2月の米雇用統計についてコメントした。
7日発表の2月の米雇用統計は
- 非農業部門就業者数(前月比): 151千人(市場予想は160千人)
- 失業率: 4.1%(前月比+0.1%ポイント、市場予想+4.0%)
- 平均時給: 前年比+4.0%、前月比+0.3%(市場予想+4.1%、+0.3%)
市場では良くも悪くもメッセージの小さな結果だったとの反応が多かったようだが、シーゲル教授はやや弱気の解釈をしたようだ。
背景には、トランプ政権の特に関税政策に対する不信感がある。
「関税については賛成しないまでも理解できる。
でも、ある日発動し、次の日延期し、その次の日に発動する、というのは理解できない。
それが市場に対し不確実性・計画性ほかに及ぼす影響はマイナスだ。」
朝令暮改のトランプ政権が市場のボラティリティを上昇させ、悪影響を及ぼしているとの指摘である。
シーゲル教授は3月18-19日のFOMCについて次のように予想する。
「GDPほかの統計でいくらか予想を下回ることがあったとしても(3月)FOMCは期待外れに終わる可能性がある。
12月よりタカ派的になるのではないか。
CPI・PPIほかの統計によっては、期待外れになる。」
インフレの面で心配が残るために、経済指標が弱含みでも、積極的に金融緩和には進めないとの読みだ。
シーゲル教授は、政策面での不確実性が残る3月でなく、少し解消するであろう4月のFOMCの方が動きやすいはずと語っている。
(次ページ: シーゲル教授の米国株・米国債市場の見方)