アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、極めて定量化するのが難しい政治・反グローバル化と株価の関係について論じている。
私はグローバル化が世界経済にとって正味でプラスだったと信じている。
しかし、それが巻き戻している一因は、グローバル化の支持者たちがそのコストを認めようとせず、グローバル化のいかなる側面に対する反対も排他主義者や無知として排除してきたことにある。
ダモダラン教授が自身のブログで、グローバル化を是としつつ、その支持者の一部を批判している。
いかにもダモダラン教授らしい批判だ。
ESGの時もそうだったが、教授は偽善者、善意を悪用する者に牙をむく。
時々の流行りや権威に寄り添うことでしか自身・自論の正当性を示せない人にダメを出す。
グローバル化もその1つ。
いくつも問題点・課題が指摘されても、結論がグローバル化ならそのすべてを是とするような議論がまかり通る。
今は、反グローバル化を唱える人が増え、突如として問題点・課題の優先順位が上昇している。
これら問題点・課題は、別に今始まったことではなく、昔からありながら無視され続けてきたことなのだ。
ダモダラン教授はこう書いている。
「市場の不確実性をとりあえずトランプ、関税、貿易戦争のせいにするのはたやすい。
実際には、現状を生み出した力は長年にわたり政治と経済の両方で蓄積してきたのだ。
つまり、関税がトップ記事でなくなり、喫緊の貿易戦争の恐怖が弱まったとしても、反グローバル化を引き起こした底流にある力は世界の通商・市場において影響を及ぼし続けるだろう。」
ダモダラン教授が言いたいのは、反グローバル化が続こうがグローバル化に回帰しようが、グローバル化の問題点・課題が再び無視されるようにはならず、政治の変化が経済・市場に影響を及ぼし続けるだろうということ。
その一例として長年見続けてきたテスラ株を挙げている。
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