ビル・グロス氏が、朝令暮改の米政治をあてこすりつつ、米市場のボラティリティの高さを嘆いている。
「私のディフェンシブ銘柄のポートフォリオは青信号だ。
だから今日の上げ相場でも悔んだりしない。」
グロス氏が9日ツイートした。
同氏は従前、トランプ関税の混乱が当面続くとして、ディフェンシブなポジションを取るよう奨めていた。
グロス氏のこのスタンスは9日の昼頃まではとてもうまく行っていた。
ところが、トランプ大統領が、米国株は買い時、関税の一部を90日間停止するとツイートすると、市場は急騰した。
グロス氏のディフェンシブ銘柄は、下げなかった分、上げも小さかったのではないか。
もっとも同氏は納得ずくだ。
下げを小さく上げを大きくと求めるほど欲張りでも非現実的でもないのだ。
グロス氏は問う。
あなたに尋ねたい:
大統領が夜よい睡眠をとって翌朝に前日の政策をひっくり返すかどうかに株価が依存するような、ボラティリティの高い米国株を保有したいかい?
ボラティリティが高いのは株式だけではない。
特に9日にはドル相場も米国債も大きく変動する局面があった。
機関投資家としてのキャリアを卒業し、その後は莫大な資産で株式をさかんにトレードしているグロス氏も、政治に振り回される米市場に辟易しているようだ。
グロス氏さえこんなことを言うのだから、今回の混乱で米証券投資はずいぶんと人気を失ったのではないか。
グロス氏は反騰の前、株式クラッシュが若い世代の株式投資への姿勢を変化させ、それが米市場の今後のパフォーマンスに影響を及ぼすと警告していた。