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ジェレミー・シーゲル 【書評】株式投資(ジェレミー・シーゲル)
2017年7月17日

ウォートンの魔術師、永遠のブルと呼ばれるジェレミー・シーゲル教授による株式投資の入門書。
「長期投資で成功するための完全ガイド」との副題が付されている。(浜町SCI)


商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。日頃のシーゲル教授の強気一辺倒の語り口からは想像できないほどバランスのとれた入門書となっている。
近時のトピックまでよくカバーし、さまざまな角度から株式投資を分析・紹介している。
なぜ教授が「永遠のブル」と呼ばれるようになったのか、本書に2つのヒントが隠れている。
一つは株式リスク・プレミアムだ。

TIPS(物価連動国債)の利回りの購買力は確実なので、最も安全な資産と言える。
株式は明らかにTIPSよりリスクが高いので、株式の利回りにはTIPSを上回るリスクプレミアムがなければならない。」

投資家はリスクに対し対価(プレミアム)を求めるので、長期的に見れば株式のリターンはTIPSを上回るはずとする信念が述べられている。
教授は株式リスクプレミアムは一般的には2-3%とし、「株価の先行きが不透明であれば高くなり、強気相場であれば低くなる」と解説する。
株式に安定的なプレミアムを期待しがたい日本株の投資家からすればうらやましい話だ。

もう一つはインフレ・ヘッジ効果だ。
世界の中央銀行でリフレ政策が流行っている現在、この効果への期待は高い。

「債券の長期利回りとは対照的に、株式の長期利回りはインフレ率と同じペースで上昇することが過去のデータで示されている。」

ただし、短期ではこのインフレ・ヘッジ効果も見込めないという。
特にインフレの度合いが高いときにはこの効果が低下・消滅すると示されている。

本書は、株式と債券の相対価格を議論する「FEDモデル」についても紹介している。
アラン・グリーンスパンFRB議長(当時)をはじめとして、株価を煽りたい時に用いられるモデルだが、シーゲル教授は1970年代以降(少なくとも原書第4版が上梓された2008年まで)「比較的うまく市場の動きをとらえてきた」と分析している。
教授はこの一因をインフレに求めている。
一方「インフレが重大な問題となる1970年代以前には、債券利回りと株式益回りの間に何の相関もなく、FEDモデルが機能していない」と結論している。


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