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ジェレミー・シーゲル教授が深読みする関税のゆくえと影響

ジェレミー・シーゲル教授は、米国によるカナダ・メキシコ・中国への追加関税が米経済・市場に及ぼす影響について解説している。


これ(関税発動)は経済的にも政治的にもよくない。

シーゲル教授がKnowledge at Whartonで、1日の追加関税の大統領令署名についてコメントした。
(このインタビューは3日に行われた。
同3日にカナダ・メキシコに対する追加関税は1か月停止されることになった。)

シーゲル教授は、仮に2-3か月の関税引き上げならば米経済への影響は軽微だと指摘。
むしろ政治的な影響の方が深刻だと話した。
まず、主流メディアやSNSで政権に対するネガティブな情報が増えること。
さらにもっと問題なのが議会運営への影響だ。
関税という反対の多い手法を用いることで、特に勢力が均衡している下院において共和党の優位がそがれかねないという。
さらに、議会が関税実施の権限を大統領から取り戻そうという機運に発展しかねないと語った。

「この政治的影響は、特に共和党が望むオムニバス法案・減税法案を議会に通すときに重要になってくる。」

関税やそれが誘引するインフレにより政権や共和党の支持率が低下すれば、市場が心待ちにするプロビジネスの法案が通らなくなる懸念があるというのだ。

シーゲル教授は、交渉ツールとしての関税の問題は短期で終わるものと予想している。
しかし、もしも長期に及び報復関税も導入されれば、インフレに目に見えた悪影響になりうると認めている。
問題は、関税によるインフレをどう退治しうるかだ。

「これは需要超過ではなく外的な供給側の問題だ。
FRBは『これはやり過ごそう。信用引き締めで状況を悪化させたくない』と言うかもしれない。
私だって『やり過ごそう』または『1回のみの上昇だ』と言うだろう。」

シーゲル教授は、仮にFRBが利上げで対応すれば、それはそれでトランプ大統領の反感を買うだろうと推測している。
教授は市場への影響度を次のように話している。

それは完全にどれだけ長く続くかによる。
関税が実施される限り、引き下げられない限り、株式市場が上昇するのは極めて難しいだろう。


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