Oaktree Capitalのハワード・マークス氏が、投資家が陥りがちなリスク/リターンについての誤解を解説している。
これを正しく理解しないと、無謀なリスク・テイクに走りかねないとの含意だ。
「リスクこそが最も重要なことだ。
リスクを理解し認識し制御することに私は人生を費やしてきた。」
マークス氏がビデオの中で信念を語っている。
同氏は1967年シカゴ大学大学院に入学した頃を回想する。
当時学んだ新しい理論では、リスクとリターンの関係が中心に据えられていたという。
マークス氏はそのエッセンスを図示した。
みんなお馴染みのリスク/リターンのトレード・オフのグラフだ。
(出典:Oaktreeビデオ)
右肩上がりのグラフで表されているのは、ローリスク=ローリターン、ハイリスク=ハイリターンの関係だ。
マークス氏によれば、このわかりやすいグラフが投資家に誤解を与えているという。
「正の相関を示しており、リスクが上昇すればリターンが上昇するようになっている。
多くの人がこの関係を《よりリスクの高い資産はより高いリターンを与える》と誤解している。
もっと儲けたければもっとリスクをとればよいということになる。
この両方の解釈はいずれも間違いだと考えている。」
なぜ間違いなのか。
それは、ファイナンス理論で言う狭義の《リスク》と自然言語の《リスク》の間にずれがあるからだ。
狭義のリスクとは、ある期待値の上下に存在するブレのことだ。
自然言語のリスクとは、将来悲しいことになるかもしれない危険性のことだ。
自然言語の場合、意識が下方に偏っている。
マークス氏は上のグラフにリターンの確率分布を書き足した。
(出典:Oaktreeビデオ)
リスクが大きくなるにしたがい、期待リターンが大きくなるだけでなく、同時に結果の分布の幅が広がり、悪い結果がより悪くなることがわかる。
これこそリスクの性質だと私は考えている。